感情が爆発するのは「弱いから」じゃない
「また怒ってしまった…」「泣きたくないのに涙が止まらない」
そんなふうに自分を責めてしまうこと、ありませんか?
感情があふれてしまうのは、気持ちをうまく出せなかった積み重ねが原因であることがほとんどです。
特に、発達障がい・精神障がい・HSP(繊細な気質)などがある方は、感覚や感情に振り回されやすく、感情の調整(セルフコントロール)が難しいと感じることがあります。
もちろん、健常者の方でも、強いストレスや人間関係の摩擦が続くと、同じような経験をします。
この記事では、「感情が爆発する仕組み」と「自分を守るためのセルフケア」を紹介します。
感情が爆発するメカニズム

小さな我慢の積み重ねが「大爆発」を引き起こす
- その場では我慢した
- でも心の中では納得していない
- それが何度も重なる
↓
ある日、ささいなことで怒りや涙が止まらなくなる
このようなケース、非常によくあります。
これは**「感情のバケツ理論」**と呼ばれ、心の中にたまった感情があふれ出すイメージです。
脳の仕組みと「暴走モード」
怒りや恐怖などの感情は、脳の「扁桃体(へんとうたい)」という部位が関係しています。
強いストレスを感じると、この部分が“非常警報”を鳴らし、理性をつかさどる前頭葉の働きが弱まってしまうのです。
結果として…
- カッとなって暴言を吐く
- 涙が止まらない
- 自分を傷つけたくなる
といった自分でもコントロールできない行動が出てしまうのです。
こんな人は要注意|セルフチェックリスト
- 怒ると手が震えたり、物にあたってしまう
- 「怒りたくないのに止められない」と感じる
- 気づいたら涙が止まらなくなっている
- 頭の中で過去のことを何度も繰り返し考えてしまう
- 「自分の感情がわからない」と感じることがある
- 些細な言葉に必要以上に傷つく
- 人前で感情を出すことが恥ずかしいと思っている
- 感情を見せたあと、強い自己嫌悪に襲われる
→3つ以上当てはまる場合、感情のコントロールに関するケアやスキルが有効です。
感情があふれそうなときの対処法

「今、自分は怒ってる/悲しんでる」と言葉にする
感情の“ラベリング”はとても大切です。
自分の今の気持ちに「名前をつける」だけで、脳が落ち着くという研究があります。
- 「今、私はすごく怒ってる」
- 「悲しくて涙が出そう」
- 「悔しさで胸が痛い」
→ 感情を“外に出す”だけで、意外と落ち着いてきます。
10秒の「間」を意識する
感情が湧いた瞬間、すぐに言い返したくなることもありますが、**「10秒間、黙って呼吸する」**ことをルールにしてみてください。
- 息をゆっくり吐く
- 壁や空を眺める
- 手をぎゅっと握ってから開く
→ それだけで怒りのピークが少し収まり、「冷静に反応する力」が戻ってきます。
“安全な場所”を決めておく
感情が爆発しそうなときに「ここに行けば落ち着く」という場所をあらかじめ決めておくと安心です。
- 自分の部屋
- トイレの個室
- ベランダや公園のベンチ
- カフェや図書館の静かな席
→ その場を“避難”して落ち着く時間を持つのは、とても有効な対処法です。
感情コントロールを育てる日々のトレーニング

「自分の気持ちノート」をつけてみる
今日の気持ちを簡単にメモするだけでも、自分の感情パターンが見えてきます。
- 「今日は〇〇にイラッとした」
- 「でも、そのあと〇〇して少し落ち着いた」
→ 書くことで客観視ができ、自分を責めすぎることが減ります。
「自分を守る言葉」を持っておく
怒りや悲しみが湧いたときに、自分にかける言葉を準備しておくと安心です。
- 「今はそれだけつらいんだね」
- 「怒って当然だよ」
- 「落ち着いたら考えよう」
→ 自分の感情を否定しない声かけが、コントロールにつながります。
専門家と一緒に整えるという選択肢も
「感情のコントロールが本当に難しい」と感じる場合は、精神科医やカウンセラー、支援機関との連携も大切です。
特に以下のような場合は、専門的なサポートを受けることで大きな改善が期待できます
- 自傷・他害がある
- 日常生活が回らなくなるほどの情緒不安定
- フラッシュバックやパニックが起きる
→「治す」というより、「自分らしく生きるための道具」として相談機関を活用してみましょう。
おすすめ本
『「怒り」がスーッと消える本』(和田秀樹/PHP文庫)
「怒りっぽい性格を変えたい」「小さなことでイライラしてしまう」――そんな悩みを持つ人に向けた、“怒り”の仕組みと対処法をやさしく解説した一冊。
感情を押さえつけるのではなく、「怒りの背景にある本音」を知ることの大切さが語られています。
事例も豊富で、精神論ではなく実践的な考え方や言い換えの工夫が満載。
怒りに振り回されずに過ごしたい人の、入門書としておすすめです。
『「自己肯定感低めの人」のための本』(山根洋士/アスコム)
心理カウンセラーとして8000人以上の相談実績がある著者が、「自己肯定感の低さ=心のクセ」を見つけ直す方法を教える一冊。
心のクセを見つめ直し、毎日を楽にするヒントが満載。
“自分の気持ちがわからない” を少しずつ取り戻したい人におすすめです。
『感情的にならない本』(和田秀樹/新講社ワイド文庫)
怒り・不安・嫉妬・落ち込みなど「感情に振り回される自分がつらい」と感じている人に向けた、感情マネジメントの実用書。
精神科医ならではの視点で「感情は抑えるより、“距離をとる”方がうまくいく」という考え方を提案します。
小さなコツや考え方の転換が多数紹介されており、日常の中で実践しやすい内容になっています。
まとめ:感情があふれるのは「心が正直」だから
怒ってしまった。泣いてしまった。
それは、あなたが「感じる力を失っていない」証拠でもあります。
感情は、敵ではなく、あなたの味方です。
ただ少しだけ、扱い方を練習する必要があるだけ。
誰にでも爆発する日があるからこそ、今日からできるケアを始めてみませんか?
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