「今日は布団から出たくない」「誰にも会いたくない」
そんなふうに感じる日はありませんか?
特に、発達障がいや精神障がいがある方は、気分の変動に振り回されやすい傾向があります。
でもそれは「弱さ」ではなく、「感受性の高さ」や「脳の個性」によるものかもしれません。
この記事では、心が落ち込んだ日や疲れた日に、「少しだけ楽に過ごすコツ」や「自分を責めない工夫」を紹介します。
無理に元気になる必要はありません。
ゆっくり、自分にやさしくなれるヒントを見つけていきましょう。
心の調子が悪くなるのは、誰にでもあること

「波」があることは正常なこと
多くの人は「毎日元気でいるべき」と思いがちですが、それは現実的ではありません。
心や脳にも体と同じように「好調な日」と「低調な日」があるのです。
特に、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD、双極性障がい、うつ病、不安障がいなどを抱える方は、
・感覚過敏や疲労の蓄積
・人間関係の緊張
・季節や天候の影響
・特定の出来事の記憶の再燃
などがトリガーとなり、予期せぬタイミングで心が落ちてしまうことがあります。
これは甘えではありません。
「波があるのが自分のリズム」と受け入れることが、回復の第一歩です。
完璧主義をやわらげてみる
「頑張らなきゃ」「いつも通りにこなさなきゃ」と考えすぎていませんか?
完璧を求めすぎると、自分を追い込みやすくなります。
心の調子が悪い日は、「60%くらいの自分でもいい」と思ってみましょう。
“できなかったこと”ではなく、“今できていること”に目を向ける練習が大切です。
落ち込んだ日にできるセルフケア10選

落ち込みをゼロにすることはできなくても、「今より少し楽になる」ことはできます。
無理をしなくていい、小さなセルフケアを10個ご紹介します。
1. 栄養をちょっとだけ摂る
→ 食欲がなくてもゼリー飲料やスープなど“飲むだけ”の栄養補給が助けになります。
2. 眠れないなら、横になるだけでもOK
→ 睡眠にこだわらず、目を閉じて体を休めるだけで自律神経が整います。
3. 五感をととのえる
→ 柔らかいブランケット、好きな香り、優しい音楽など、ひとつだけ心地よくしてみましょう。
4. 外の空気を少し吸う
→ ベランダに出るだけでもOK。空を見上げると視界が広がり、気持ちも少し動きます。
5. SNSやニュースを“ちょっとだけ”オフに
→ 情報の洪水から離れて、思考を静かにしてみましょう。
6. 今日やらなきゃいけないことを「1つだけ」に絞る
→ 「全部やらなきゃ」ではなく「これだけやればOK」と決めると、心が軽くなります。
7. 好きな作品やキャラに触れる
→ 本、マンガ、YouTube、ゲームなど、「自分を取り戻せる時間」をあえてつくるのも◎。
8. 湯船や足湯で体を温める
→ ぬるめのお湯はリラックス効果あり。シャワーよりも副交感神経が優位になります。
9. 誰かに「話す」か「書く」
→ 気持ちを吐き出すことで、脳のモヤモヤが整理されます。相手がいなければノートに書くだけでもOK。
10. 自分に「今日はこれで十分」と声をかける
→ できなかったことを責めるより、「今日は生きてるだけでえらい」と認めることが一番の回復薬です。
基本の3つ「食べる・寝る・動く」を意識する
心が弱っているときこそ、生活の基礎が乱れがちになります。
あえて基本に立ち返ることが、回復への近道になります。
- 食べる:ゼリー飲料やバナナなど、簡単に摂れる栄養をとる
- 寝る:眠れないなら、目を閉じるだけでもOK
- 動く:起き上がれないなら、手だけでも伸ばしてみる
ほんの少しの積み重ねが、明日をラクにします。
五感をととのえる小さな習慣
五感を心地よく刺激することで、自律神経がやさしく整います。
- 柔らかいブランケットにくるまる(触覚)
- アロマや好きな香りをかぐ(嗅覚)
- 静かな音楽や自然音を聴く(聴覚)
- 好きな色のものを眺める(視覚)
- ハーブティーや甘い飲み物を少し(味覚)
五感のうち、ひとつだけでも心地よくすることで、
「今ここ」に戻ってくる感覚を得られることがあります。
ネガティブな思考との距離を取るコツ

「気分」と「自分」は別のもの
「気分が落ちている」とき、人は「自分がダメな人間だ」と思いがちです。
でも、気分はあくまで“状態”であり、“本質”ではありません。
「今日は気分が悪いけど、自分まで悪い人間ではない」
そう認識することで、感情に飲まれずに過ごすことができます。
思考を書き出して“見える化”する
思考がぐるぐるしてつらいときは、頭の中だけで考えるのをやめて、紙に書き出してみてください。
・今思っていることを箇条書き
・モヤモヤしている理由を1つだけ書く
・「〇〇でもOK」と自分に許可を出す文章を書く
書き出すことで、考えすぎを止めるブレーキになります。
つながりと支援を“先に用意”しておこう

「助けて」が言える準備を
心がつらくなると、誰かに頼ることすら難しくなります。
だからこそ、「調子がいいとき」にあらかじめ下記のような対策をしておきましょう。
- 連絡しやすい人をメモしておく
- 緊急時の支援先(支援センター、地域包括支援など)をリストアップ
- 自助グループやSNSの安心できるアカウントをフォロー
いざというときの“安心のリスト”があるだけで、心の安全度は大きく変わります。
支援機関や制度も活用しよう
・カウンセリング(無料相談含む)
・障がい福祉サービス(生活支援・就労支援)
・地域のピアサポート団体
・診断のある人向けの福祉手帳・医療費助成制度
「利用できるか不安…」という方も、一度だけでも窓口で話してみる価値はあります。
情報を知っているだけでも、安心材料になります。
まとめ:今日は休む日でも大丈夫
心の調子が悪い日は、がんばらないでください。
むしろ、「休むこと」そのものが、立派な回復へのアクションです。
できなくてもいい。人と比べなくていい。
あなたは、あなたのままで大丈夫。
どうか自分を責めず、やさしく見守ってあげてくださいね。
明日はまた、少し違う日がやってくるかもしれません。