障がい者が障がい者を支える自立生活センター「まちで生きる、まちが変わる つくば自立生活センターほにゃらの挑戦」

凸凹村管理人

「障がい者が障がい者を支える」、そんな新しい形の支援組織、自立生活センターの一端が、柴田大輔さんの筆によって明らかにされました。

柴田さんが描く「まちで生きる、まちが変わる つくば自立生活センターほにゃらの挑戦」は、自立生活センター「ほにゃら」の歴史とその活動を通して、当事者が当事者を支え、社会を変えていく様子を描いたノンフィクションです。

障がいのある当事者が主体となって運営される支援組織

自立生活センターとは、障がいのある当事者が主体となって運営される支援組織であり、医療や福祉の専門家ではなく、当事者同士が支え合うことを基本としています。

柴田さんは本書を通じて、自身が介助スタッフとして参加し、2年にわたって「ほにゃら」の活動を追いかけました。

彼はその中で、当事者が抱える問題や願望に深く寄り添い、新たな支援体制を作り上げる過程に触れ、自立生活センターの魅力を見出しました。

独立生活を送るためのサポート

自立生活センターの最大の特徴は、障がい者がヘルパーの支援を受けながら、自宅や施設を離れて独立生活を送るためのサポートを提供する点です。

全国に100か所以上存在し、利用者が自らの生活を主体的に計画し、実現させるための支援を行っています。

そして、その支援には障がい者同士が互いの立場を理解し合い、困難に立ち向かう強い絆があることが特筆されます。

当事者以外の支援者や地域の人々も巻き込む

柴田さんの取材により、自立生活センターが当事者の力で地域社会を変えていくプロセスが明らかになりました。

彼らは、当事者以外の支援者や地域の人々も巻き込みながら、より包括的な支援体制を構築し、社会の理解と受容を促進しています。その活動は、単なる支援だけでなく、社会そのものの変革をもたらす可能性を秘めています。

自立生活センター「ほにゃら」の挑戦は、障がい者が自らの力で自立し、社会と共に歩む未来を切り拓く姿を象徴しています。

柴田さんの本は、その姿を捉えると同時に、私たちに新たな支援の在り方や共生の可能性を問いかけます。

障がい者自立生活センター「ほにゃら」共に歩む、自立の道

2001年に設立された「ほにゃら」は、障がいのある人々が自らの人生を主体的に切り拓く場として、その存在感を示し続けています。このセンターの事務局長、斉藤新吾さんは、自身も難病と闘いながら、障がい者が自立生活を送る意義やその背景について語りました。

重い障がいを抱える人々を自立生活に導く

「ほにゃら」は、これまでに5人ほどの重い障がいを抱える人々を自立生活に導き、支えてきたといいます。

現在の利用者数は約30名で、そのうち毎日介助を必要とする人は7人ほどです。障がいを持つスタッフ3名のほか、介助スタッフ50人ほどが利用者を支える重要な存在です。

斉藤さんは、「ほにゃら」の理念を次のように語りました。

「障がいのある人のことを、従来は家族や医者、福祉の専門家など、障がいのない人が決めてきた歴史があります。しかし、我々は『自分たちのことは自分たちで決めていこう』という理念のもと、自立生活センターを立ち上げました。」

障がい者が自らの意見を優先

彼はまた、「重度の障がいを抱える人々が自らの意思を表明することの重要性」についても触れました。

「多くの場合、他者に介護を依存している人々は、自らの考えを表明することを恐れる傾向があります。家族や施設の職員が良くしてくれるという理由で、自らの意見を後回しにしてしまうことがよくあります。しかし、我々は障がい者が自らの意見を優先し、自らの人生を決定する権利を持つことを尊重しています。」

関連記事