IQテストの落とし穴「知的障がい」の大きな誤解とは?

凸凹村管理人

古代ギリシャの哲学者プラトンは、その著書『国家』において、都市国家の構成員に関して興味深い見解を述べています。彼は知的な観点で見ると、ある個人が都市国家の一員として適格かどうかは関係ないと主張しました。

その代わりに、彼は体力面での適性を重視し、それが重要な要素であると示唆しました。また、プラトンは個々の人々がそれぞれ異なる能力や資質を持っていることを認識し、それぞれが自分に適した仕事に従事することが理想的であると論じました。

知的障がいや認知症についての理解は重要

現代においても、知的障がいや認知症についての理解は重要です。知的障がいは発達期において明らかになるものであり、成人になるまでに完成した知的機能が影響を受けます。一方、認知症は加齢や疾患によって成人後に発現するものです。このような違いを理解することで、適切な支援やケアを提供することができます。

『知的障がいを抱えた子どもたち』という本では、子ども時代に診断された知的障がいが成人後も持続することを述べています。しかし、そのような状態でも、生活の幅が狭まるわけではなく、可能なことを見つけ出すことが大切であるとしています。彼らが持つ能力や資質を最大限に活かし、社会で充実した生活を送るための支援が必要であることを強調しています。

「知的機能」が通常よりも低い水準である状態

知的障がいとは、人々の発達や学習に関わる重要な側面である「知的機能」が通常よりも低い水準である状態を指します。言い換えれば、他の同年齢の人々と比較して、認知や言語などの知的な能力が発達する速度や程度が遅れているということです。このような状態にある人々は、一般的な社会生活において、日常的なタスクやコミュニケーション、仕事などにおいて困難を経験することがあります。

ピアジェの「知能の誕生」によれば、知的な発達は言語によらない非言語的なコミュニケーションから始まり、模倣などを通じて言語的なコミュニケーションへと進化していきます。しかし、知的障がいを抱える子どもたちにとっては、この過程が適切に機能せず、遅れや途切れが生じることがあります。

特別な支援や配慮が必要な状態

日本においては、文部科学省が定義する通り、知的障がいは「同年齢の子どもと比べて、認知や言語などにかかわる知的機能の発達に遅れが認められ、他人との意思の交換や日常生活、社会生活、安全、仕事、余暇利用などについての適応能力も不十分であり、特別な支援や配慮が必要な状態」とされています。この定義は、知的障がいが個々の能力や適応能力に影響を及ぼす広範な側面を考慮しています。

なお、知的障がい者福祉法の改正により、1999年以降は「精神薄弱」という用語は使用されなくなり、より適切な表現が用いられるようになりました。

自発言語の遅れが顕著な特徴

乳幼児期における知的障がいの兆候は、生後1歳6ヵ月~2歳未満の健診や3歳~4歳未満の健診において、特に自発言語の遅れが顕著な特徴です。1歳6か月児健診では、単語が話せるかどうかがチェックされますし、3歳児健診では自分の名前や年齢などを言えるかどうかが確認されることが一般的です。

もし子どもがこれらの点で発育遅れが見られる場合、知的障がいや自閉症スペクトラム障がい、あるいは難聴などの可能性が疑われます。具体的な指標や診断の手法については、著者の『乳幼児健診ハンドブック』をご参照いただければと思います。

言語発達の遅れがある場合には聴力の確認が必要

ただし、注意すべき点として、知的障がいと自閉症スペクトラム障がいはしばしば合併する傾向があります。また、新生児期において聴力検査を受けていたとしても、言語発達の遅れがある場合には聴力の確認が必要です。

幼児期以降も、指示の理解が難しい、会話が成立しない、学童期以降には学習がうまく進まない、読解力が乏しいなどの症状が見られる場合、知的障がいの可能性が考えられます。これらの兆候について、早期に対応し適切な支援を行うことが重要です。

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