テレワークで労災 長時間労働で適応障がい 極めて異例の認定

凸凹村管理人

長時間労働によって精神疾患を発症し、それが労災認定された事例は、近年の労働環境の変化と、それに伴う労働者の健康問題の深刻化を象徴しています。特に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークが急速に普及したことで、労働構造や労働時間の変化が顕著になっています。

外資系補聴器メーカーで働く50代の女性

横浜市に本社を構える外資系補聴器メーカーで働く50代の女性のケースは、テレワーク増加に伴う業務量の増加が精神疾患を引き起こした典型的な事例と言えます。この女性は経理や総務を担当する正社員であり、テレワークが導入されたことで業務が増加しました。

特に、新たな精算システムの導入などにより、残業時間が急増したという背景があります。こうした状況が適応障がいを発症させ、労災認定に至ったとされています。

労働時間の管理やストレス対策が不十分

この事例は、労働者の健康と労働環境の関係性を再考させるものとして注目されています。従来の労働形態からテレワークへの移行により、働き方や労働時間が大きく変化しました。

しかし、その一方で、テレワークにおける労働時間の管理やストレス対策が不十分である場合、労働者の健康問題が深刻化する可能性があります。このような問題に対処するためには、労働者と企業が協力して、適切な労働環境を整備することが不可欠です。

労働者の健康と安全を確保

労働基準監督署が女性の残業時間を過労死ラインを超えると指摘し、会社に是正勧告を行ったことは、労働者の健康と安全を確保する上で重要な一歩です。企業側も、テレワークにおいて長時間労働が生じないよう、上司への申請を義務付けるなどの措置を講じる必要があります。

それに加えて、法的な規制や指針の整備も欠かせません。労働者の健康を守るためには、労働環境の改善と労働法の適切な運用が求められます。このケースが、長時間テレワークによる労災認定という異例の事例となったことは、今後の労働環境の改善や労働法の見直しに向けての重要な契機となるでしょう。

労働者の健康と安全を守りながら、テレワークなどの柔軟な働き方を実現するためには、法規制の見直しや企業の取り組みが必要不可欠です。

リモート環境下で上司の監督が難しくなる

テレワークの普及に伴い、労働環境の変化が浮き彫りになっています。神戸大学の大内伸哉教授は、テレワークが普通の労働と変わらず、原則に沿った認定が適切だと述べています。

しかし、リモート環境下で上司の監督が難しくなるという特殊性があるため、企業は従業員の健康配慮義務を果たし、行政は企業を適切に監督することが求められます。テレワークの利点は確かにありますが、労働者の健康や適切な労働管理を確保するためには、社会的な議論と法整備が不可欠です。

テレワークの普及

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークは急速に普及しました。総務省の通信利用動向調査によれば、テレワークを導入している企業の割合は年々増加しており、2022年には51.7%に達しています。

この数字はテレワークが今後も一般的な労働形態として定着していくことを示唆しています。しかし、テレワーク導入に伴って長時間労働や仕事とプライベートの時間の区別がつかなくなると感じる従業員が増えており、これが労働管理の課題となっています。

労働者がテレワークを行う場合、自宅や外出先などの非オフィス環境で仕事を行うため、従来のオフィス勤務とは異なる課題が浮かび上がってきます。例えば、家庭や生活の中での雑音や他の家族の存在などが、労働効率や集中力に影響を与える可能性があります。

また、労働者が自ら労働時間を管理することが求められるため、業務とプライベートのバランスを保つことが難しくなるケースもあります。

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