障がいのある子どもと被災 母親の体験談

凸凹村管理人

せんだいメディアテークの「3がつ11にちをわすれないためにセンター」(通称、わすれン!)のサイトでは、東日本大震災の体験談が母親たちの声で公開されています。

知的障がいや発達障がいのある子を抱える母親たちのリアルな日常が、一つ一つの音声に込められています。

このプロジェクトの中心人物である一人の女性は、2023年から仲間を訪ね録音し、その貴重な記録を集めました。彼女たちは、本音を共有することで、理解者が増えることを願っています。

配給場所での列に並ぶことが難しい

震災当日、仙台市内陸部に住む橋本武美さんの家では、断水の影響で生活が厳しくなりました。彼女の一人息子である祐哉さんは、知的障がいを伴う自閉症スペクトラム障がい(ASD)を抱えており、日常生活において様々な困難を抱えています。配給場所での列に並ぶことが難しく、ストレスの中で彼は表情を失いつつありました。

安心して過ごせる社会を実現するために

橋本さんは、街を歩き回りながら食料や飲み水を確保しようとしましたが、開いている店がなく、ますます困難な状況に直面しました。そんな中でも、彼女は自分たちよりもっと大変な状況にある人々がいることを思い出し、その苦しみを心に押し込めました。

そして、障がいを抱える人々が安心して過ごせる社会を実現するためには、どうすれば良いのかという問いを抱えています。

個々の体験を通して共感や理解を深める場

「わすれン!」は2011年5月に開設され、地域の出来事を市民自らが記録し、整理する「コミュニティー・アーカイブ」の試みを担っています。このプロジェクトは、地域の声を集めるだけでなく、個々の体験を通して共感や理解を深める場としても機能しています。これまでに9万5千件以上の映像データが集められ、その数は日々増加しています。

震災体験を語る「録音小屋」

橋本さんが「わすれン!」を訪れたのは、2013年5月。子育てが落ち着いたタイミングであり、知人の誘いもあって、震災体験を語る「録音小屋」を利用しました。

そこでの体験共有は、彼女自身の心の整理にも役立ちました。自らの思いを語ることで、他の人に何かを伝えられるかもしれないという希望を抱きました。

実際の体験が多く語られる

彼女は「他の家族にも、まだ言葉にできていないことがあるのでは」と考え、スタッフからのアドバイスを受け、翌月からは他の家族の体験を収集し始めました。

最初はためらっていた親たちも、彼らの心の奥に秘められたストーリーが語られるにつれて、話し始めると止まらなくなりました。

「大声や自傷行為をしてしまうのが目に見えたので、避難所には絶対行きたくなかった」「学校が再開せず子どもがパニックになった」といった実際の体験が、彼らの口から語られました。

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