過去から現代への障がい観の変遷:共生社会への道のり Part5

凸凹村管理人

共生社会に向かう現代社会では、障がいに対する理解が医学的なモデルから生活の中での実際の困難に焦点を移しています。しかし、現行の福祉制度や教育制度では、法律に基づいた枠組みで障がい者を分類しています。

このようなアプローチは、従来の医学的なモデルに近いものです。日本が法治国家であることから、法律によって障がい者支援が行われる仕組みとなっています。身体障がいや精神障がいなどの分類によって、支援の対象者を示しています。

行政などは、特定の分野における支援や対応をするために、障がいの種類に応じて異なるアプローチを取ることがあります。そのため、支援を提供する際には、各障がいに関する一般的な知識だけでなく、支援対象者の個々の特性についても理解する必要があります。

国際的な規約である障がい者の権利に関する条約

国内の法律の分類に先立ち、国際的な規約である障がい者の権利に関する条約を見てみましょう。この条約では、全ての障がい者が人権や基本的な自由を享受し、保護されることを目指しています。

障がい者は、長期的な身体的、精神的、知的、または感覚的な機能の障がいによって、他の人々との平等な社会参加が妨げられる場合を含みます。つまり、障がい者の権利に関する条約では、生活モデルを基本としながら、障がいごとに適切な支援や対応を提供する考え方が示されています。すべての人が平等に生活するためには、障壁を克服するための支援が必要です。そのためには、障がいの分類が必要です。

日本の法律

日本の法律において、障がい者の支援は大きく全体的な枠組みから始まり、福祉分野と教育分野で障がい者の種類が定められています。障がい者基本法では、身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む)、その他の心身の機能の障がいを総称し、日常生活や社会生活に制限を受ける者を障がい者と定義しています。

この法律には、身体障がい者福祉法、知的障がい者福祉法、精神保健及び精神障がい者福祉に関する法律、発達障がい者支援法などが含まれます。教育においても、学校教育法が関連する条文を定めています。さらに、「障がい者総合支援法」では、障がい者を具体的に定義し、その支援の必要性を明確にしています。これらの法律は難解ですが、支援対象を明確にするために必要な説明が含まれています。

学校教育法

日本の教育分野では、「学校教育法」によって特別支援学校や特別支援学級の設置が定められています。特別支援学校は、視覚障がい者、聴覚障がい者、知的障がい者、肢体不自由者、または病弱者に対し、学習上や生活上の困難を克服し自立を図るための教育を提供します。さらに、「学校教育法」では、特別支援学級の設置も規定されており、知的障がい者、肢体不自由者、身体虚弱者、弱視者、難聴者、その他障がいのある者に対する教育が行われます。

学校教育法施行規則

また、「学校教育法施行規則」によれば、通級指導教室という形態も存在します。この指導は、言語障がい者、自閉症者、情緒障がい者、弱視者、難聴者、学習障がい者、注意欠陥多動性障がい者、その他の障がいのある者に対して、通常の学級に在籍しながら特別な指導を提供します。このように、教育制度では障がいの程度や種類に応じて、様々な支援が行われています。

身体障がい者福祉法

身体障がい者福祉法では、障がいの種類が具体的に列挙されており、これに基づいて身体障がい者手帳の交付が行われます。具体的には、視覚障がい、聴覚または平衡機能の障がい、音声機能、言語機能またはそしゃく機能の障がい、肢体不自由、心臓、じん臓または呼吸器の機能の障がい、その他政令で定める障がいが含まれます。そして、身体障がい者福祉法施行令において、政令で定める障がいの具体例が追加されています。さらに、障がい者総合支援法では、治療方法が確立していない疾病やその他の特殊な疾病による障がいも障がい者として規定されています。

三つのレベル

法律や規則の階層構造には、「○○法」、「○○法施行令」、「○○法施行規則」の三つのレベルがあります。法律は国会で制定され、施行令は政府によって制定されます。そして、施行規則は各省庁によって定められ、法律や施行令の具体的な運用方法や手続きが定められます。

身体障がい者福祉法の別表には、視覚障がい、聴覚障がい、音声機能、言語機能、そしゃく機能の障がいに関する具体的な基準が示されています。

視覚障がいについては、以下のような基準が設けられています。

  • 両眼の視力がそれぞれ0.1以下のもの
  • 一眼の視力が0.02以下で、他眼の視力が0.6以下のもの
  • 両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの
  • 両眼による視野の二分の一以上が欠けているもの

聴覚障がいについては、次のような基準が示されています。

  • 両耳の聴力レベルがそれぞれ70デシベル以上のもの
  • 一耳の聴力レベルが90デシベル以上で、他耳の聴力レベルが50デシベル以上のもの
  • 両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50パーセント以下のもの
  • 平衡機能の著しい障がい

音声機能、言語機能、そしゃく機能の障がいに関しては、以下の基準が設けられています。

  • 音声機能、言語機能、またはそしゃく機能の喪失
  • 音声機能、言語機能、またはそしゃく機能の著しい障がいで、永続するもの

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