視覚障がい者の案内で「見えない世界」を体験する「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」暗闇の中で見えない世界を体験する

凸凹村管理人

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、視覚障がい者の案内で「見えない世界」が体験できる施設で、ドイツ生まれのソーシャル・エンターテインメントです。日本には2024年で25年目を迎え、25万人以上が体験しました。

多様性やコミュニケーションを学ぶ場として、企業や団体の研修にも取り入れられています。東京都港区にある常設館「ダイアログ・ダイバーシティミュージアム 対話の森」を訪れた、読売新聞メディア局・松本由佳さんの体験をご紹介します。

魔法のような体験

「ダイアログ・ダイバーシティミュージアム 対話の森」への訪問は、まるで未知の世界への扉を開くような、魔法のような体験でした。案内役である全盲のなおきさんの案内に従い、暗闇の中へ一歩踏み入れる瞬間、まるで別次元へと足を踏み入れたような感覚が私を包みました。

手にした白杖を頼りに、周囲の世界を探索することは、まるで冒険者が未知の領域に足を踏み入れるような興奮と不安が入り混じった感情を呼び起こしました。足元の柔らかさや草の匂い、木の枝に触れる感触は、まるで実際に森の中に身を置いているかのようであり、五感が刺激される体験でした。

この暗闇の世界で、私たち参加者の声が重なり合い、徐々に不安が消え、代わりに信頼の絆が生まれていく様子を感じることができました。この場所は、ただ視覚を奪われた暗闇の空間ではなく、新たな出会いや経験、そして学びの場であることを強く感じました。

視覚以外の感覚を研ぎ澄ます

「対話の森」では、日常では考えられないような体験が私たちを待っていました。音に頼りながらボールを転がしたり、電車の中で座席に座る体験をすることで、視覚以外の感覚を研ぎ澄まし、新たな発見をする喜びを味わいました。

特に暗闇の中で注文した飲み物は、普段の感覚では味わえない奥深い味わいを持っていたことに驚きました。この体験は、私の人生における日常の価値観や感覚に新たな視点をもたらしました。

また、視覚障がいのある人々に対する声掛けの難しさや、受け手の気持ちに思いをはせることができるきっかけともなりました。

理解や配慮の重要性を改めて認識

「自分にはできない」と思っていたことが、実際に挑戦することで可能になる瞬間を何度も経験し、その喜びを感じました。

この体験を通じて、私は自身の能力や可能性に再び気付かされました。視覚以外の感覚をフルに活用し、新しい世界を楽しむことができることに感謝の念が湧きました。

また、なおきさんの体験談から、視覚障がいのある人々に対する理解や配慮の重要性を改めて認識しました。この貴重な体験を通じて、私は人々とのコミュニケーションや、異なる視点からの世界の見方を学ぶことができ、これからの人生において大きな影響を与えることでしょう。

難病で視力を失ったなおきさんの温かさ

なおきさんは、進行性の難病「網膜色素変性症」によって視力を失ったと告げました。しかし、「対話の森」で過ごした90分間は、彼の存在が私たちにとって大きな力となりました。

彼は暗闇の中で自由に動き回り、温かなトークで場を盛り上げました。彼の姿は、障がいのある人々が不自由としてではなく、自由として見られることを示しています。

普段、町で障がいのある人を見かけると手助けを考えることがありますが、ここでは彼なしには進めませんでした。

できないことがあってもできる人に力を借りればいい

逆に、私たち自身が声をかけて仲間を先導する場面もありました。困った時は互いに助け合うことができるという当たり前の事実に安心感を覚えました。

できないことがあっても、できる人に力を借りればいいのです。残された感覚を駆使して、時には助け合う。人には不安を乗り越える力があるのだと思いました。

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