視覚障がい者の部屋探しと生活支援:地域差と課題 部屋探しに立ちはだかるものとは?

凸凹村管理人

視覚障がい者の日常生活や部屋探しの現状を探るために、株式会社mitsukiの代表である高橋昌希さんにお話を伺いました。彼は同行援護事業や視覚障がい者向けのウェブメディアを運営しており、その経験から多くの示唆に富んだお話を聞くことができました。(ACTION FOR ALL 編集部)

情報収集や地図の把握も困難を極める

日本には約31万2,000人の視覚障がい者が在宅で暮らしています。彼らの中には、身体障がい者手帳を持つ人々の中で7.3%を占めています。視覚障がい者にとって情報収集は至難の業であり、特に部屋探しという日常的な活動においてはその困難さが顕著に現れます。

私たちは視覚を利用して周囲の環境を把握し、情報を得ていますが、視覚障がい者にとってはこの方法が通用しません。高橋さんによれば、部屋探しの際には物理的な移動だけでなく、細かな情報収集や地図の把握も困難を極めます。そのため、同行援護事業や適切な支援が必要不可欠です。

「同行援護」というサービスを提供

株式会社mitsukiの事業には、視覚障がい者の支援に加えて、ブラインドアスリートのサポートや情報発信も含まれています。

視覚障がい者の生活において、移動障がいと情報障がいの両方が重要な課題です。mitsukiでは、この両方の課題に対応するために、「同行援護」というサービスを提供しています。このサービスは、視覚障がい者がスポーツや日常生活において安心して移動できるよう、伴走や生活支援を行うものです。

さらに、同行援護を担うガイドヘルパーの研修や資格発行を通じて、専門的なサポート体制を整えています。また、最近では移動支援の福祉制度を活用した外出の支援サービスも提供しており、利用者が制度の狭間で困ることがないよう、柔軟な対応を心がけています。

ウェブメディア「Spotliteメディア」

情報障がいに関しては、「Spotliteメディア」というウェブメディアを通じて、視覚障がい者やその支援者に向けて情報を提供しています。視覚障がい者が日常生活で必要な情報や福祉に関する情報を得ることが困難なため、このメディアではわかりやすく情報を発信し、彼らの生活をサポートしています。

「Spotliteメディア」は主に当事者向けのコンテンツを提供していますが、健常者にもリアルな情報を伝えることを目指しています。さらに、地域連携の一環として、地方都市での視覚障がい者同士の交流を促進する活動も行っています。これにより、視覚障がい者が地域社会でより良い支援を受けられる環境を作ることを目指しています。

何らかの理由で門前払い

視覚障がい者の方の部屋探しは、実際には非常に困難なものとなっています。一昨年に新入社員としてこの問題に取り組んだ際、その困難さを肌で感じました。まず、不動産会社で物件を選び申し込みをする際に、視覚障がい者であることを伝えると、何らかの理由で門前払いされることがほとんどでした。管理会社に障がいがあることを伝えても、相手方から電話を切られるような経験もありました。

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