席の譲り合いを革命する「オタスケニャー」

凸凹村くん🏔管理人

座りたいけど言えない、譲りたいけど言えない

公共交通機関を利用しているとき、
「座りたいけれど、誰かに声をかけるのは難しい」
「席を譲ってあげたいけれど、誰に譲ればいいのか分からない」
そんな経験はないでしょうか。

9月22日、
「席を譲ってほしい人」と「席を譲れる人」をつなぐアプリ
「オタスケニャー」の説明会を開催しました。

今回の説明会では、オタスケニャーを開発している塩谷賢作さんから、アプリの仕組みや現在の開発状況について説明していただき、
参加者同士で「なぜ席の譲り合いがうまくいかないのか」「どうすれば多くの人に使ってもらえるのか」などについて意見を交わしました。

オタスケニャーは、現在Android版のベータ版が開発されている段階で、まだ一般公開前のアプリです。

だからこそ、今回の説明会では
「アプリを紹介する」というだけではなく、
これからどう育てていくのかを一緒に考える時間にもなりました。

「席を譲ってほしい」と言うことのハードル

「席を譲ってください」と周囲に声をかけることは、
どうしてもハードルがあります。

「自分の障害や体調について説明しなければならないかもしれない」
「大げさだと思われないだろうか」
「本当に譲ってもらっていいのだろうか」

そんなことを考えてしまうと、結局何も言えずに
立ったまま過ごしてしまうこともあります。

参加者からもさまざまな体験談が

今回の参加者からも似たような経験が聞かれました。

ある方は、疲れていたり腰が痛かったりして
「座りたい」と思うことはあるものの、
「みんな座りたいよな」と考えて我慢したり、
次の電車を待ったりして対応しているとのことでした。

またある方は、ヘルプマークを身につけていて、
若い人のほうが席を譲ってくれることが多いが、
一方で、バスなどでは「お年寄りに席を譲る」という意識が強く、若く見える自分には席を譲ってもらえないこともあるそうです。

また、座っているときにヘルプマークが服などに隠れてしまうと、周囲から状況を理解してもらえず、
なぜお年寄りに席を譲らないのか
と、威圧的な態度を取られてしまった経験も語られました。

また別の方からも、
ヘルプマークをつけて立っていても、
なかなか席を譲ってもらえないという経験が共有されました。

その一方で、一度だけ中年男性が席を譲ってくれたことがあり、
そのときはとても嬉しかったという話もありました。

こうした体験談から見えてきたのは、
席を譲ってほしくても、「席を譲ってください」
と声をかけられる人は多くないということでした。

ヘルプマークだけでは伝わらない「何をしてほしいのか」

ヘルプマークが伝えること、伝えられないこと

では、なぜ席の譲り合いがうまくいかないのでしょうか。
今回の説明会では、その原因についても話し合いました。

ヘルプマークは、「配慮や援助を必要としている人が身につけるもの」ということを周囲に伝えるための大切なツールです。

しかし、ヘルプマークを見ただけでは
「席を譲ってほしい」
「少し助けてほしい」
「声をかけてほしい」
など、具体的に何を求めているのかまでは分かりません。

「譲りたい側」にも迷いがある

一方、席を譲りたい側にも
「この人は座りたいのかな?」
「声をかけても大丈夫かな?」
「自分から声をかけて、嫌な思いをさせたらどうしよう」
という迷いがあります。

さらに、公共交通機関では多くの人がスマートフォンを見ていたり、周囲を気にせず過ごしていたりします。

「席を必要としている人」と「席を譲れる人」が同じ車内にいたとしても、お互いがその存在に気づけるとは限りません。

必要なのは「伝える仕組み」

つまり、そこには「譲る気持ちがない」という問題だけではなく
「必要としている人」と「譲れる人」をつなぐ仕組みがない
という問題があります。

オタスケニャーは、まさにこの部分にアプローチするために開発されています。

両者をつなぐオタスケニャー

2つの役割でシンプルにマッチング

オタスケニャーには、大きく分けて2つの役割があります。

ひとつは「タスケテさん」。
これは、今「席を譲ってほしい」と思っている人です。

もうひとつは「オタスケさん」。
こちらは、「今なら席を譲れる」という人です。

タスケテさんがアプリ上で席を譲ってほしいという操作をすると、周囲にいるオタスケさんに通知が届きます。

同じ番号を見せ合うだけ

そして、両方がマッチングすると
双方の画面には同じ番号が表示されます。

たとえば、タスケテさんの画面に「123」、
オタスケさんの画面にも「123」と表示される、
といった仕組みです。

同じ番号が表示されていることを確認すれば、相手を特定することができます。

つまり
「席を譲ってほしいです」
「あなたに席を譲ります」
と、直接声をかけなくても、
お互いに意思を確認できるわけです。

理由を説明しなくても使える

オタスケニャーの特徴は、シンプルな操作で席の譲り合いを実現できることです。

そして、もうひとつ大きな特徴があります。
それは、障害の有無に関係なく、誰でも利用できるということです。

そう、オタスケニャーは
障害がある人だけのアプリではないんです。

妊娠している人、高齢者、けがをしている人、
体調が悪い人、疲れている人など、
席を必要とする理由を問わず利用できます。

障害名や年齢、性別などの登録も必要ありませんし、
「なぜ席を譲ってほしいのか」を説明する必要もありません。

障害の有無に関係なく、誰でも使えるアプリへ

「障害者向け」から「みんなが使えるもの」へ

これは、オタスケニャーが当初の「障害のある人のための仕組み」から、「誰でも使える仕組み」へと考え方を広げてきた結果でもあります。

席を必要とする理由は、人によってさまざまです。
外から見ただけでは分からない事情を抱えている人もいます。

だからこそ、「この人は障害者だから」「この人は高齢者だから」といった属性で判断するのではなく、

今、席を必要としている人と、今、席を譲れる人をつなぐ。

それがオタスケニャーの考え方です。

誰もが「タスケテさん」にも「オタスケさん」にもなれる

今日は席を必要としているけれど、別の日には誰かに席を譲れる。
そんなことも当然あります。

「助ける人」と「助けられる人」を固定するのではなく、
そのときの状況によって誰もがどちらにもなれる。

オタスケニャーは、そんな使い方ができる設計になっています。

現在はまだベータ版。一般公開に向けて開発中

現在使えるのはAndroidでのテスト版のみ

説明会では、参加者から「オタスケニャーはどこからダウンロードできますか?」という質問もありました。

実は、現時点ではまだ一般公開されていません。

現在存在しているのはAndroid版のベータ版で、アプリストアから誰でも自由にダウンロードできる状態ではありません。

テスト版は開発者からインストールファイルを直接もらう形式となっています。

これから必要なのは「実際に使ってもらうこと」

そのため、現在は「完成したアプリを広く使ってもらう」という段階ではなく、
実際に使ってもらい、フィードバックを集めながら改善していく段階
にあります。

今後は、団体やグループ単位でテストに協力してもらう機会を増やしていくことも課題となっています。

「良いアプリ」だけではいけない理由

利用者が増えて初めて成立する仕組み

今回の説明会では、アプリそのものだけでなく、
「どうやって普及させるのか」という話も大きなテーマになりました。

オタスケニャーは、「席を譲れる人」と「席を譲ってほしい人」の両方が利用して初めて機能する仕組みです。
どちらか一方だけが増えても、マッチングは成立しません。

そのため、アプリの完成だけではなく、
「知っている人を増やすこと」が重要になります。

普及を支える人材も必要

今回の参加者から、エンジニアリングと普及活動では必要な能力が異なるため、アプリを広める部分をサポートする人材が必要ではないかという意見が出ました。

まずは「オタスケニャーというものがある」と知ってもらう。
そのうえで、実際に使ってみたいと思ってもらう。

そのための情報発信やサポート体制も、これから整えていく必要があります。

これからのオタスケニャー

まだまだ解決していく課題がある

今回の説明会を通して見えてきたのは、オタスケニャーにはまだまだ開発・普及の課題があるということです。

現在はAndroid版のベータ版のみ。
iOSユーザーはまだテストに参加できません。
テスト版のインストールにも手間がかかります。
テストに協力してくれる団体やグループも、これから探していく必要があり、
さらに、外部に紹介するための素材も整備途中です。

一方で、今回説明会をしたからこそ、こうした課題を一つずつ具体化することができました。

参加者から寄せられた具体的な提案

参加者から

・定期的に説明会を開催する
・アプリのUIやスクリーンショットを公開する
・紹介動画を作る
・漫画などの紹介素材を活用する
・口コミやSNSで知っている人を増やす
・テストに協力できる団体を探す

といった具体的な提案が寄せられました。

アプリが公開された際には、参加者がSNSでシェアしたり、
知人に紹介したりすることについて協力の声が上がっています。

「譲りたい」と「譲ってほしい」を、もっと簡単につなぐために

「善意」だけに頼らない仕組み

公共交通機関で席を譲る。

言葉にすると、とても簡単なことのように感じます。
でも実際には、

「譲ってほしいけど言えない」
「譲りたいけど、誰に声をかければいいか分からない」
「相手が困っているのか判断できない」

という、双方の迷いがあります。

その迷いを「善意」だけで解決するのではなく、
仕組みでつなごうとしているのがオタスケニャーです。

もちろん、まだ開発途中です。
これから実際に使ってもらう中で、
さまざまな課題や改善点も見つかっていくでしょう。

だからこそ、今回のような説明会や意見交換の場が重要になります。

みんなで育てていくアプリへ

「こんな場面で使いたい」
「ここが分かりにくい」
「こうしたらもっと使いやすいのでは?」

そんな一つひとつの声が、これからのオタスケニャーを形づくっていきます。

現在は、一般公開に向けた準備とテストの段階です。

今後も説明会や情報発信を通じて、
オタスケニャーのことを知ってもらい、
実際に使ってみたい人、開発に協力したい人、
普及を手伝いたい人を増やしていくことが目標です。

「席を譲りたい人」と「席を譲れる人」がつながる社会へ

「席を譲ってほしい人」と「席を譲れる人」。

そんな人たちが、もっと自然につながる社会へ。

オタスケニャーは、そのための新しい選択肢を広めるべく
これからも活動を続けていきます。

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