時間はかかるけれど、普通の子たちと同じように作業できる。コミュニケーションは問題ない。けれど、どれだけまじめに勉強しても、テストの点数がいつも平均以下。お子様本人も勉強ができないことを悩んでいるみたい。それは、もしかしたら「境界知能」かもしれません。境界知能とは何か、境界知能の子が抱えやすい問題や、境界知能のお子様への対処法を解説します。
境界知能とは?
境界知能とは、知的障がい者ではないけれど、普通の人の枠にも入ることができない人たちのことを指します。
知的障がい者だと診断されるのは、IQ69以下。「普通の人」とされる平均的なIQは85~115です。なので、どちらでもない「IQ70~84」の方は「境界知能」と診断されます。
昔はWHOによる区分で、「IQ70~84」は「境界線精神遅滞」といい、知的障がいの一つとして定義されていました。しかし、それだと知的障がい者の人口があまりに多く、支援が追いつかなくなるため、知的障がいから除外されたという過去があります。
境界知能は日本人の7人に1人いるとされます。35人のクラスであれば、約5人が「境界知能」かもしれない計算になります。
クラスの中でテストの点数がいつも低い5人がいたとして、まわりの反応はどうでしょうか。「努力不足」「やる気がない」と決めつけることが多いでしょう。
さらにすべてのことができないわけではなく、あるテストでは点数がとれる子もいるので、「嫌いな教科はまじめに勉強しないのでは」と疑われることもあり、「境界知能」だと気づかれないことが多いです。
境界知能と発達障がい・グレーゾーンとの違い
発達障がいのお子様はテストの点数はとれていて知的な問題はなく、環境しだいでは普通の子どもたちと問題なく過ごせることが多いです。また、こだわりの強さがあったり、会話で一方的に自分の話をするなど、性格やコミュニケーションが特徴的です。グレーゾーンといわれるお子様にも似た特徴があります。
境界知能のお子様はテストの点数がいつも低く、学習面で全体的に遅れています。コミュニケーションでも、特徴があるというよりも、まわりより子どもっぽいイメージです。
勉強でも生活やコミュニケーションでも2~3才分遅れているというのが、境界知能です。
境界知能の子どもの特徴
境界知能の疑いがあるお子様には以下のような特徴があります。
- 見る、または聞く力が弱い
- 予想外のことにすぐ対応できない
- 感情をコントロールすることが苦手
- 作業をすばやくおこなうことが苦手
- 論理的に物事を説明することができない
- 力の加減ができない など
境界知能の子どもが抱える問題
境界知能は障がいとも呼べず、普通の人の枠にも入ることができないことから、以下のような問題が起こるおそれがあります。