発達障がいの「生きづらさ」を軽減させるため高校生が橋渡し役に

凸凹村管理人

発達障がいの理解を広める活動を続ける陽菜さんのような存在が、世の中には数多く存在します。その背景には、身近な人が発達障がいを抱えているという経験があります。陽菜さんの場合、家族の一員として発達障がいを持つ弟がいます。彼の症状は軽度であり、外見からは判断しづらいため、一般の人々から理解を得ることが難しいという苦労がありました。

講演会などで啓発活動を行ってきた

彼女は、そのような状況に直面しながらも、地元の高校生や他の若者たちに発達障がいについて話す機会を積極的に設け、講演会などで啓発活動を行ってきました。弟もまた、学校生活での経験から、特に発達障がいに対する理解の不足を痛感していたようです。

学校では、発達障がい特有の行動や特性が、理解されずに問題視されることがありました。特別支援学級に通っていた弟でさえも、支援が必要な時にはむしろ修正しようとする方向に導かれることがありました。このような状況は、発達障がいを持つ人々が日常的に直面する課題の一部です。

陽菜さんは、家族の苦悩を解消したいという思いから、2022年に世界的なコンテストに挑戦しました。そのスピーチでは、弟が普通に生まれたかったという切実な気持ちや、母親の涙が語られ、発達障がいの理解を求める活動を誓いました。

コンテストでグランプリを獲得

その後、彼女は社会貢献に取り組む10代の女性を支援するコンテストでグランプリを獲得しました。彼女の活動は、発達障がいについての理解を深めるだけでなく、他の若者たちにも希望と勇気を与えています。彼女の情熱と努力が、社会にポジティブな変化をもたらすことを期待しています。

鈴木陽菜さん(18)は、大会に参加することで自身の発信力と自信を高めることができたと述べています。彼女は高校生の時から、教育現場での経験や放課後デイサービスでのボランティア活動を通じて、発達障がいの理解を広めるための努力を続けてきました。そして、2023年からは講演活動も開始し、その活動範囲を拡大しています。

この日、藤枝市の依頼を受けて、陽菜さんは発達障がいのある家族が参加する対談会で登壇しました。そこでは、障がいの有無にかかわらず多くの子どもが共に学ぶ「インクルーシブ教育」の重要性を訴えました。彼女は、現在の分離教育では発達障がいのある人にとってもサポートする側にとっても課題があると指摘しました。そのため、みんなが平等に学べる環境を作ることで、将来的に社会全体がより包括的で過ごしやすい環境になるとの信念を述べました。

生きづらさを抱える人が身近に存在する

この考えに共鳴する声が、臨床心理士である浜松学院大学短期大学部の志村浩二教授からも寄せられました。彼は、発達障がいのある人を近くで見ている人の発言が大きな影響力を持つとし、特に若い世代が話すことは若い世代の共感を高めると指摘しました。そして、若い世代の人々が積極的に発信することで、理解と共感がより広がることを期待しています。

陽菜さん(18)は、生きづらさを抱える人が身近に存在することを周囲に感じてもらいたいと願っています。彼女は家族や出会った人から学んだ知識を、自らの経験や理解をもとに、同世代の人々に伝える橋渡し役を果たすことを目指しています。

「苦手なことは誰かと補い合えるような共生社会になってほしい」と陽菜さんは語ります。彼女は専門知識を学び、より説得力を持って発達障がいについての理解を広めることを目指しています。その決意と情熱が、より多くの人々に届くことを願っています。

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