障がい者グループホームの選び方

凸凹村管理人

「ひとりで暮らしてみたいけれど、サポートも必要」
そんな想いを抱える障がいのある方にとって、グループホームは“自分らしく暮らす”ための有力な選択肢です。

本記事では、グループホームの基本知識から、タイプごとの違い、入居までのステップ、費用の目安、実際の選び方まで詳しく解説します。
実際に制度を利用する人だけでなく、家族・支援者にとっても参考になる内容です。

「安心できる場所で、自立を目指したい」――そんな願いを叶えるための第一歩として、ぜひこの記事を読んでみてください。

グループホームの種類と特徴

① 介護サービス包括型

  • 主に夜間・休日に食事・入浴・排せつ支援あり。
  • 利用者数・事業所数とも最多で、軽度〜中等度の障がいの方に多く選ばれます

② 外部サービス利用型

  • 主に夜間に相談や日常生活上の援助を提供。身体介護は外部の居宅介護サービスに委託。
  • 比較的軽度の方に向いており、費用は場合により高くなることも。

③ 日中活動サービス支援型

  • 平日昼間もスタッフ支援あり。医療的ケアや短期入所対応が特徴。
  • 重度の障がいがある方にも対応可能になった新型サービス。

④ サテライト型住居

  • グループホーム近くのアパートやマンションで生活。定期巡回支援あり。
  • 将来の一人暮らしを見据える人に適しており、利用期限2年。

最新トレンド情報

動物との共生型ホーム

  • 犬や猫と暮らすことで、情緒安定やQOL向上につながると報告例あり。
  • 全国で60カ所以上が確認されています。

IoT・見守り技術の導入

  • 転倒自動検知センサー、健康状態の遠隔モニタリングなどで安心感がアップ。

オンライン医療連携

  • 医師との遠隔相談や服薬指導が可能で、通院負担も低減されています。

利用者にとってのメリット

①「ちょうどいい距離感」で暮らせる安心感

一人暮らしの自立性と、実家暮らしの安心感。
グループホームは、その“ちょうど中間”のような存在です。

  • 食事や掃除などを自分でやりながら
  • 必要なときはスタッフに助けてもらえる
  • 他の入居者との関わりも、自分のペースでOK

②「少しずつできることが増える」自信につながる

日常生活そのものが、生活スキルのトレーニングになります。

  • ゴミ出し、洗濯、買い物などを練習できる
  • スタッフが必要なところだけそっと支援
  • 簡単な料理や金銭管理にも挑戦しやすい

自分のペースで“できること”が増えるたびに、自信が育っていく。
一人暮らしへのステップアップを目指す人にもぴったりです。

③ 経済的な負担が少ない暮らし方

公的制度を活用することで、費用の不安を抑えられます。

  • サービス利用料:原則1割負担(上限あり)
  • 家賃補助(1〜2.5万円)で実質家賃が下がる
  • 食費・光熱費も定額制で管理しやすい

地域によって補助の内容が異なるため、市区町村の福祉課で事前確認がおすすめです。

選び方のステップガイド

STEP 1|自分のニーズを整理しよう

まずは「自分がどんな暮らしを望んでいるか」を具体的に言葉にしましょう。
支援者や家族と一緒に整理するのもおすすめです。

  • 夜間もスタッフにそばにいてほしい?
  • 食事や入浴に介助が必要?
  • にぎやかな環境より静かなほうが落ち着く?
  • 将来は一人暮らしを目指している?
  • どのくらいの距離で家族・支援者と関わりたい?

自分に合う支援のタイプを知ることが、ミスマッチを防ぐ第一歩です。

STEP 2|支援区分と類型を確認しよう

障がい支援区分(0〜6)は、どの類型のホームを利用できるかに影響します。

ホームの種類こんな人におすすめ
介護サービス包括型生活全般にわたって支援が必要な人
外部サービス利用型生活は自立しているが、相談や見守りが欲しい人
日中サービス支援型日中の見守り・支援が必要な人
サテライト型将来の単身生活を目指す人、静かな環境を希望する人

STEP 3|費用の見通しを立てよう

グループホームの費用は、場所・支援の内容・家賃補助の有無で差が出ます。

月額の目安(全国平均)

費用項目相場(概算)備考
サービス利用料(1割負担)5,000〜15,000円障害福祉サービス費の1割
家賃30,000〜50,000円家賃補助により実質負担減可
食費・光熱費等25,000〜35,000円定額制のところも多い

特定障害者特別給付費(補足給付)
家賃のうち上限1〜2.5万円まで国が負担。さらに市区町村で独自の助成がある場合も!

STEP 4|複数のホームを見学・体験しよう

パンフレットや写真だけでは分からない“雰囲気”や“肌感覚”を確かめましょう。

見学時のチェックポイント

  • 室内のバリアフリー化(段差、手すり、トイレの広さなど)
  • スタッフの対応は丁寧か?急かすような態度はないか?
  • 利用者の様子は落ち着いているか?年齢層や性別構成は?
  • 食事は手作り?外部委託?内容・栄養バランスは?
  • 緊急時(発作、転倒など)の対応体制は?

可能であれば「体験入居」をしてみましょう。
数日でも過ごしてみると、生活の合う・合わないがよく分かります。

STEP5|サービス等利用計画を作成しよう

正式に利用するには、「サービス等利用計画」が必要です(※相談支援専門員が作成します)。

内容に含まれるもの:

  • どのような暮らしを望んでいるか(将来像)
  • グループホームでどのような支援を受けたいか
  • 医療・就労・日中活動などとの連携方針

「自分の想い」をなるべく具体的に伝えましょう。
支援内容に反映されやすくなります。

STEP6|契約・入居準備をしよう

契約前に「重要事項説明書」を受け取り、内容をよく読みましょう。
施設によっては保証人や身元引受人が必要になる場合もあります。

入居前に準備するもの

  • 印鑑(実印)と本人確認書類
  • 生活用品(衣類、寝具、日用品など)
  • 医療・服薬関係の情報(お薬手帳、通院記録)
  • 緊急連絡先や支援機関の連絡表

STEP7|入居後の振り返り

入居後は6か月ごとに支援内容を見直す「モニタリング」があります。
スタッフや相談支援員と一緒に、現状を振り返って改善点を話し合いましょう。

モニタリングで確認すること

  • スタッフの支援内容は十分か
  • 他の利用者との関係でストレスがないか
  • サテライト型や単身生活への移行希望はあるか?

不満や困りごとは遠慮せず伝えましょう。
状況に応じて、別のグループホームへの変更も可能です。

よくある質問

Q. 支援区分が「非該当」でも入居できますか?

A. はい、制度上は可能ですが、実際には断られることが多いです。

  • 制度上、「非該当」や「区分1〜6」の人すべてがグループホームの利用対象です。
  • ただし、ホーム側は国からの報酬(給付費)を収入源とするため、「非該当」や「区分1」の場合、報酬が少なくなるため、入居を断られることがあります。
  • また「区分なしでも利用可能だが自己負担が高額になる」(区分認定されていないとサービス利用料が利用者負担になる)という実態もあります

参照:障がい福祉専門の税理士事務所

Q. ASD・ADHDなど発達障がいだけでも利用できますか?

A. はい、発達障がいのみでも問題なく利用できます。

  • 発達障がい(ASD・ADHD・LD含む)単独で入居できるホームは増えており、「発達障がい専門グループホーム」も存在します。
  • 実際、重度の発達障がい者も対応可能な「日中活動支援型ホーム」などもあり、単なる施設入所より柔軟な選択肢があります。

参照:株式会社キズキ 発達障害のある人のグループホーム利用まとめ

Q. 支援区分が高すぎても入居できない場合がありますか?

A. 支援区分が高すぎると、サポートが不足する場合があります。

  • ホームによって受け入れられる支援区分に上限があり、高度な支援(例:区分6など)が必要な場合は、対応できるスタッフ数やスキルを備えていないケースもあります。
  • こうした場合は、「日中サービス支援型」や「介護包括型」、「施設入所支援」など高支援体制の類型を選ぶ必要があります。

参照:しゃふくさん

Q. 医療的ケアが必要でも利用できますか?

A. できますが、ホームの選び方が重要です。

  • 日中サービス支援型や、医療連携が可能なホームであれば、看護師巡回やオンライン診療などで対応できます。
  • 医療依存度が高い場合、「施設入所支援(障がい者支援施設)」も含めて複数の選択肢を検討するのが望ましいです。

参照:SMILE HOUSE

まとめ:理想の暮らしを形にするために

  1. 自分の「欲しい生活」を明確に
  2. 類型の違いを理解し、マッチするものを選ぶ
  3. 見学で「肌感覚」を確認
  4. 支援計画と費用の見通しをしっかり持とう

グループホームは「暮らしの安心」と「自立支援」の両方を可能にする住まいです。
見学や関係機関との相談を重ね、あなたらしい毎日が送れる居場所を見つけてください。

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