「ADHDなのに、読書が好き。だけど集中が続かない。」
そんな声は、とても多く聞きます。
ページを開いても頭に入らなかったり、5分ごとにスマホに意識が飛んでしまったり、読み終わる前に別の本を開いてしまったり——。
私自身もADHDとして同じ経験を繰り返してきました。
しかし、ADHDだから読書が向かないわけではありません。むしろ、興味がハマった瞬間の没入力や多角的な発想は、読書と相性が良いことも多いのです。
この記事では、
当事者の読み方のコツ × 専門家の知見 × 読書に向く本の選び方 を、わかりやすく丁寧にまとめました。
ADHDの特性とうまく付き合いながら、読書を「好き」で終わらせず、「続けられる」に変えるための実践ガイドです。
集中できない理由は「努力不足」ではない

ADHD特性が読書に影響する仕組み
ADHDの脳は、
注意の切り替えが早い/ワーキングメモリが弱い/刺激への反応が強い
という特徴があります。
これは「集中力が弱い」ということではなく、
興味の移動が速い・情報を保持し続けるのが苦手
という脳の傾向です。
読書中に意識が外に飛んでしまうのは、脳が刺激の高い方向へ自然に動くためで、本人の怠慢ではありません。
「読めない日がある」は当たり前
ADHDの集中力は日によって波があるため、
昨日は読めたのに、今日は全く頭に入らない…
ということが普通に起こります。
これは決して「自分は続かない人間だ」と責める理由にはならず、
脳のコンディションの問題です。
読書が好きなADHDの強み
ADHDの人は、
・好きなジャンルの没入力が極端に高い
・本の世界を立体的にイメージできる
・本から得た知識を別のジャンルに応用できる
という長所も持っています。
読書を“続ける”方法さえ見つかれば、
ADHD読書はむしろ人生を豊かにする強力なツールになります。
ADHDでも集中できる「読み方の工夫」

短時間 × 高頻度で読んだ方がうまくいく
なぜ短時間がいいのか
ADHDは「最初の集中」が一番大変。
しかし一度入り込むと、長時間読めてしまうこともよくあります。
そのため、
最初のハードルを極限まで下げる
という工夫が効果的です。
たとえば
「最初の3分だけ読む」
「1章ではなく1段落だけ読む」
という方法は、とても負担が軽く、入りやすい。
心理学でも「作業興奮(やり始めると続く)」が知られており、ADHDには特に相性が良い方法です。
「読む時間帯」を固定すると定着しやすい
朝起きてすぐ、寝る前の10分など、生活のどこかに“読書の引き金”を置くと継続が安定します。
意識が散らかりやすいときは「ながら読書」に切り替える
ながら読書はADHDの味方
音声読書(Audibleなど)+散歩
音声読書+家事
など、別の動きと組み合わせると集中が散らかりにくくなる人も多いです。
特に「歩きながらの読書」は研究でも集中力向上が示されており、ADHD専門家も推奨しています。
音声読み上げアプリを活用
Kindleの読み上げや、Audibleのナレーションは、ADHDと相性抜群。
特に物語系は音声のほうが頭に残る人も多いです。
「脳の状態」を整える
静かな場所より“ちょい雑音”がいいことも
ADHDは静かすぎる環境だと逆にソワソワしやすく、適度なノイズが集中を支えることがあります。
「作業 雑音」でYouTube検索すると、集中に使える音源が多数あります。
参考リンク:「作業用 雑音」のYoutube動画検索結果
読む前にスマホを別の部屋に置く
認知科学的に「手元にスマホがあるだけで集中力が下がる」ことがわかっています。
ADHDならなおさらで、読書前に意識的に距離をとることが大事になります。
ADHDに向いている本の選び方

「読みやすさ」で選ぶ本は失敗しにくい
文字が大きく行間が広い本を選ぶ
ADHDは視覚処理が疲れやすいため、
行間が狭い本は頭が飽和しやすくなります。
岩波文庫よりも新書サイズ、漫画エッセイ、図解本などのほうが続きやすい傾向があります。
図と文章が混在する本は負担が少ない
図解やイラストが入っていると、脳が情報処理しやすく、読書のハードルがかなり下がります。
興味の「強度」で本を選ぶ
ADHDは“好き”が読書の燃料になる
興味が爆発したジャンルは驚くほど深掘りできるのがADHDの強み。
「途中でやめてもOK」「飽きたら次へ」で問題ありません。
興味が自然に動くのは特性なので、流れに合わせてジャンルを渡り歩くほうが長続きします。
今の気分にフィットするかが重要
ADHDは気分依存が強いため、
同じ本でも「今日の自分」に合わないと集中できません。
本棚に“複数冊スタンバイ”しておき、
その日のコンディションに合わせて選ぶ方法が有効です。
読書を“習慣”に変えるための実践テク

読書の「成功体験」を積み重ねる
読み終わったページ数を可視化する
ADHDは成果が見えるとモチベーションが上がるため、
読書メモアプリや、本に付箋を貼る方法が効果的です。
読めなかった日も「ゼロではない」にする
・1行だけ読む
・タイトルだけ読む
・目次だけ見る
これだけで「やれた」と脳が記録し、習慣が安定します。
読んだ内容はアウトプットする
ADHDはアウトプット型の学習が向いている
・ノートにまとめる
・SNSで感想を書く
・友人に話す
など、人に伝える前提で読むと集中が続きやすくなります。
noteに感想を書くのは特に相性がいい
文章にしようと意識するだけで集中力が高まり、読み飛ばしが減ります。
自分が読んできた記録として、noteを作成すると、自分の軌跡がみられて達せ感を感じられます。
参考リンク:note
読書は「気分のリズム」とセットで考える
調子のいい時間帯を使う
ADHDは一日の中で集中できる時間が存在するため、
その“波”に合わせて読書することで継続率が高まります。
調子が悪い日は「音声」だけに切り替える
頭が働きにくい日は音声だけにする、図解だけ見るなど、当日モードに合わせて柔軟に切り替えてみましょう。
まとめ:ADHDでも読書は楽しめる。
「ADHDだから読書が苦手、続かない。」
そう思い込んでいた時期が、私にもありました。
でも実際は、
読み方を変えれば、ADHDは読書を強い味方にできる特性を持っています。
・短時間 × 高頻度
・ながら読書
・脳の状態に合わせる
・興味の強度で本を選ぶ
・複数ジャンルを並行で読む
こうした工夫が組み合わさると、読書は驚くほど楽しく、深く、人生の力になります。
ADHDの脳は、制御が難しい時もあるけれど、
その分 ハマったときの集中力・創造性は圧倒的です。
ぜひ、今日のあなたに合う読み方・本の選び方を試してみてください。
