約50人に1人が自閉症スペクトラム障がい?ASDについて詳しく解説!

凸凹村管理人

自閉症スペクトラム障がい(ASD)とは?

自閉症スペクトラム障がい(ASD:Autism Spectrum Disorder)は、神経発達障がいの一つであり、社会的コミュニケーションの困難さや、限定された行動・興味のパターンが特徴的です。「スペクトラム」と呼ばれるのは、症状の重さや表れ方が非常に多様であり、軽度から重度まで幅広い範囲にわたるからです。

ASDは幼少期に現れることが多く、特に言語やコミュニケーション、対人関係の発達に遅れが見られます。これらの症状は生涯にわたって持続するものの、適切な支援や治療によって、生活の質を向上させることが可能です。

ASDの診断基準

ASDの診断には、「社会的コミュニケーション・相互作用における障がい」と「行動や興味が限定的で反復的であること」の二つの特徴的な領域が考慮されます。具体的には、以下のような症状が見られます。

  • 社会的コミュニケーションの障がい:アイコンタクトの欠如、表情やジェスチャーの不足、会話のキャッチボールが難しい、友達付き合いが難しいといった特徴があります。
  • 限定的で反復的な行動・興味:同じ行動を繰り返す、特定の物事に強い関心を示す、日常生活の変化を極度に嫌うといった行動が見られることがあります。

ASDの有病率

ASDの有病率は年々増加しており、近年の調査では、約50人に1人がASDであるとされています。この増加の背景には、診断基準の変化やASDに対する社会的理解の進展があると考えられています。また、ASDは男女比で約4倍の差があり、男性に多く見られますが、女性の場合は症状が軽度であるため、診断が遅れることも少なくありません。

ASDの原因

ASDの原因については、遺伝的要因と環境要因の相互作用が関与しているとされています。特定の遺伝子変異や神経伝達物質の異常が関連していることが分かっており、家族内でASDの傾向が見られることも少なくありません。しかし、ASDを引き起こす単一の原因は特定されておらず、多くの要因が関与している複雑な障がいであることが分かっています。

ASDの特徴

ASDの主な特徴は、社会的コミュニケーションの障がいと、限定的・反復的な行動や興味です。これらの症状は一様ではなく、個々の特性や発達段階によって異なる形で現れるため、早期の診断と支援が重要です。

社会的コミュニケーションの困難

ASDの最も顕著な特徴の一つが、社会的コミュニケーションの困難さです。具体的には、他者との言語的・非言語的なコミュニケーションに問題が生じ、以下のような行動が見られます。

  • 視線の合い方が不自然:他者とアイコンタクトを取ることが難しい、あるいは視線を全く合わせないことがあります。これにより、対人関係の構築が難しくなることが多いです。
  • 表情やジェスチャーの理解が困難:他者の感情を表す表情やジェスチャーを読み取るのが難しいため、相手の感情に適切に対応することができないことがあります。
  • 会話のキャッチボールが苦手:会話を続けるためのやりとりが苦手で、一方的に話し続ける、あるいは沈黙してしまうことがよく見られます。また、話題の切り替えに難しさを感じることもあります。

限定的で反復的な行動

ASDのもう一つの特徴は、行動や興味が限定的で、反復的であることです。この特徴は、個々の興味の対象や日常生活のルーチンに固執する形で現れることが多いです。

  • 特定の物事に強い関心を示す:例えば、ある特定のテーマ(車や電車、宇宙など)に異常なまでの関心を示し、その話題に関連する知識を非常に深く持っていることがあります。
  • 同じ行動を繰り返す:手をひらひらさせる、同じルートで歩く、同じ言葉を繰り返すなど、反復的な行動を取ることが特徴です。
  • 環境や日常生活の変化に敏感:ルーチンが崩れることを極度に嫌い、予期せぬ変化に対して強いストレスを感じることがあります。これにより、生活の中で安定感を求める傾向が強くなります。

感覚過敏・感覚鈍麻

ASDを持つ人々は、感覚に対する過敏さや鈍感さを持つことがあります。これにより、日常生活において不快感や違和感を感じる場面が多く、以下のような特徴が見られることがあります。

  • 感覚過敏:光や音、触覚に対して非常に敏感で、普通の人には気にならないレベルの刺激が、過度に不快に感じられることがあります。例えば、騒音の多い場所では耐えられない、特定の素材の服が肌に触れると強い不快感を覚えるなどです。
  • 感覚鈍麻:逆に、感覚が鈍いために、痛みや寒さ、暑さを感じにくいこともあります。これにより、怪我や病気に気づくのが遅れる場合があります。

ASDの診断と評価

ASDの診断は、専門的な評価が必要です。診断には、行動観察や保護者への聞き取り調査、発達歴や生活習慣の評価が含まれます。一般的に、以下のようなプロセスで診断が進められます。

早期発見の重要性

ASDは幼少期に発症することが多いため、早期発見が非常に重要です。早期に診断されることで、子どもに対する適切な支援や治療が開始され、社会的なスキルやコミュニケーション能力の向上が期待できます。

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