発語障がいとは
発語障がいは、音声を生成し、言葉を適切に発する能力に影響を与える神経障がいです。この障がいを持つ人々は、口や舌、声帯などの筋肉が正常に機能しているにもかかわらず、言葉を正しく発音するのが困難になります。発語障がいは、主に脳内の神経経路に問題が生じ、意図的な音声生成ができなくなることが原因です。
発語障がいは幼児期に見られることもありますが、脳卒中や頭部外傷、脳の変性疾患などが原因で後天的に発症することもあります。この障がいは、日常生活のコミュニケーションに大きな影響を与え、患者が社会的な孤立感や自己肯定感の低下を経験することも少なくありません。
発語障がいの種類
発語障がいにはいくつかの異なるタイプが存在し、主に原因や症状の出現の仕方に基づいて分類されます。
発語失行(アプラキシア)
発語失行は、発語障がいの一種で、脳内の運動プランニングに問題が生じ、言葉を発するために必要な筋肉の動きを計画し実行する能力が阻害されます。これにより、特定の音を正確に発音することが難しくなります。発語失行は意識的に音声を生成しようとする際に、特に困難が表れ、無意識に発話することが比較的容易であることが特徴です。
発語失行の典型的な症状には、以下のようなものがあります。
- 音の置き換えや音の順序の誤り
- 音声を正確に再現できない
- 何度も繰り返して発音しようとするが、正しい音声が出せない
- 音の長さや強弱、音高のコントロールが不適切
ディスアースリア
ディスアースリアは、発語障がいの中で筋肉の制御に問題があるタイプです。脳や神経系が口、舌、喉、声帯などの筋肉を適切に制御できず、音声生成に影響を与えます。ディスアースリアは、発音だけでなく、声の強さや音の高さ、リズムにも影響を与えることがあります。
ディスアースリアの症状は、発語失行とは異なり、音声の生成に関わる筋肉そのものの機能低下や神経的な問題によって引き起こされます。主な症状は次のとおりです。
- 不明瞭な発音や言葉が聞き取りにくい
- 声の強さが一定せず、音量が不安定
- 話す速度が異常に速いか遅い
- 息切れや音声のリズムが不規則
発音障がい
発音障がいは、特定の音や音節を適切に発音できない状態を指します。特に子どもに見られる場合が多く、発達過程で言葉を学ぶ際に発音が不正確になることがあります。このような場合、特定の音を省略したり、異なる音に置き換えることが多いです。発音障がいは通常、治療や言語療法を通じて改善が可能です。
発語障がいの原因
発語障がいは、さまざまな要因によって引き起こされます。主な原因は以下のとおりです。
脳卒中
脳卒中は、発語障がいの主要な原因の一つです。脳卒中によって脳の一部に損傷が生じると、音声生成に関与する脳領域が影響を受けることがあります。特に左側の大脳半球が損傷すると、言語に関連する機能が阻害され、発語失行やディスアースリアが発生することが多いです。