ADHDと睡眠障がいの関係とは?症状悪化を防ぐための対処法

凸凹村管理人

ADHD(注意欠陥・多動性障がい)は、注意力の不足や多動性、衝動性を特徴とする発達障がいですが、ADHDを持つ多くの人々が、同時に睡眠障がいにも悩んでいることがわかっています。睡眠は、心身の健康にとって非常に重要であり、睡眠不足や質の低い睡眠は、注意力や集中力をさらに低下させ、ADHDの症状を悪化させる可能性があります。

この記事では、ADHDと睡眠障がいの関係性、そしてそれに対処するための方法について詳しく説明します。

ADHDと睡眠障がいの共通点

ADHDと睡眠障がいは、脳の同じ部分が関係していると考えられています。脳の前頭前皮質は、注意や感情のコントロールに関与しており、ADHDを持つ人々は、この部分の機能が通常よりも低下していることが多いです。睡眠の調整にも同じ脳領域が関わっており、ADHDを持つ人々が睡眠に問題を抱えやすい理由の一つは、この相互作用にあります。

また、ADHDの症状の一つである過剰なエネルギーや衝動的な行動は、寝つきの悪さや深い睡眠に入ることの難しさに直結することが多いです。夜になっても頭が活発に動き続けてしまい、リラックスできず、結果として寝つけない状態が続きます。ADHDを持つ人々は、特に就寝前にリラックスすることが難しく、睡眠スケジュールの乱れを引き起こす傾向があります。

ADHDにおける主な睡眠障がいのタイプ

ADHDを持つ人々が経験する睡眠障がいには、いくつかのタイプがあります。以下にその主なものを紹介します。

入眠障がい(寝つきが悪い)

ADHDの人々に最もよく見られるのが入眠障がいです。寝ようとしても、頭の中で考え事が止まらず、なかなか眠りにつけないことがあります。これは、ADHDの特性である過剰な思考活動や感覚の過敏さが影響しており、脳がリラックス状態に移行することが難しいためです。

睡眠の維持が難しい(途中で目が覚める)

一度寝つけたとしても、ADHDを持つ人々は、夜中に何度も目を覚ますことが多いです。これは、深い睡眠に移行するのが難しいためで、浅い睡眠が続くことで、途中で目が覚めることが多くなります。特に、周囲の音や光に敏感であったり、ストレスを感じやすい場合、この傾向が強まります。

起床困難(朝起きられない)

ADHDを持つ人々は、朝早く起きるのが苦手なことも多いです。これは、夜中に十分な睡眠が取れないことに加えて、体内時計の調整が難しいことが原因です。結果として、朝起きる時間になっても眠気が残り、起床が困難になります。

睡眠相後退症候群

ADHDを持つ人々には、睡眠相後退症候群が見られることもあります。この症候群は、通常の寝る時間よりも大幅に遅れて眠るようになるもので、夜中まで眠れず、朝起きるのが非常に難しくなるという特徴があります。多くの場合、ADHDの人々は就寝時間が深夜1時や2時、さらにはそれ以降になることもあります。

ADHDと睡眠不足がもたらす影響

ADHDを持つ人々が十分な睡眠を取れないと、ADHDの症状が悪化することが多くなります。以下のような影響が考えられます。

注意力と集中力の低下

睡眠不足は、ADHDの最も顕著な特徴である注意力の低下をさらに悪化させます。集中力が続かず、仕事や学業においてのパフォーマンスが低下することが考えられます。さらに、短期記憶や問題解決能力にも影響を及ぼし、日常生活での課題が増えてしまいます。

感情の不安定さ

ADHDの人々は、感情のコントロールが難しいことがありますが、睡眠不足はこの問題をさらに深刻にします。イライラしやすくなったり、急に感情が爆発したりすることが増える可能性があります。感情の不安定さが原因で、人間関係におけるトラブルや仕事上での問題が発生しやすくなります。

衝動性の増加

睡眠不足により、衝動的な行動が増えることがあります。ADHDを持つ人々はもともと衝動的な行動が特徴ですが、睡眠不足によりその傾向が強まり、無計画な行動や過度のリスクを取るような行動を引き起こすことがあります。

身体的健康への影響

睡眠不足が続くことで、身体的な健康にも悪影響が現れます。免疫力の低下、体重増加、糖尿病や心血管疾患のリスク増加といった問題が発生する可能性があります。また、慢性的な疲労感により、日常生活の中でエネルギーが不足し、生活の質が低下することが考えられます。

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