協調運動障がいとは?原因・症状・治療法の詳細解説

凸凹村管理人

協調運動障がいとは、手足の動きや会話などの身体の機能がうまくコントロールできない障がいです。動作時に無意識的に体の震えが現れることもあります。つまり、身体のバランスや姿勢がうまく保てない状態であることが特徴となる障がいです。この障がいにより、学校生活や会社での生活に困難を来す場合があるでしょう。

ただし、運動が苦手な子や周りと比べて成長がゆっくりな子もいるため、一概に協調運動障がいと決めつけることは難しいものです。ここでは、協調運動障がいの原因や症状の特徴、診断、治療法などを詳しく解説します。

協調運動障がいとは

協調運動障がいとは、脳の中でも特に小脳に障がいを来しており、ある動作において必要な身体の部位や筋肉を協調して動かすことが難しい状態である特徴があります。運動失調の一つとも言われています。小脳以外の筋肉や神経、視覚、聴覚などには異常がみられないにもかかわらず、年齢相応の運動機能が獲得できないことが特徴的です。

たとえば、「歩く」という動作において、障がいがない場合は両腕と両足を同時に動かし、足を交互に前に出すことで前進するという動きになっています。これは、無意識に行う動作です。

しかし、協調運動障がいの場合は、腕と足を協調して動かせず、一定の歩幅で歩けないことやふらつきが現れることがあります。このように、身体のバランスをうまく保てずに、スムーズな動きが出来ないという状態になってしまうのです。

日常生活において避けられない動作

学校生活において、走ることやボールを使った運動をすることなど、全身を使った運動は避けることが可能かもしれません。しかし、鉛筆や箸を持ったりボタンをかけたりといった細かな動作が難しい場合があります。

このような細かな動作は、日常生活において避けられない動作とも言えるでしょう。社会人となれば、より細かな動作が必要となり、そこを避けては仕事に支障を来す場合もあります。このように、協調運動障がいの人にとって日常生活で避けられない細かな動作に対して、不便さと生活の困難さを感じている人が多いということが、この障がいの特徴となります。

協調運動障がいの原因

協調運動障がいの原因として、主に小脳の病変が挙げられています。小脳の病変と言っても、病変を来す要因は様々です。要因については、次のようなものがあります。

原因状態・疾患
小脳疾患小脳内の出血小脳卒中小児の脳腫瘍小脳の先天的異常
遺伝性脊髄小脳変性症フリードライヒ運動失調症毛細血管拡張性運動障がい
薬物・有害物質長期的に服用する高用量の薬物(抗けいれん薬、ベンゾジアゼピン系薬剤)長期にわたる飲酒一酸化炭素水銀や鉛などの重金属
その他熱中症甲状腺機能低下症多発性硬化症多系統萎縮症ビタミンE欠乏症

上記に挙げた小脳疾患の他には、母親が妊娠中にアルコールを多量に摂取した場合や早産児、低出生体重であることも挙げられます。

協調運動障がいの疫学

協調運動障がいが発症しやすいと言われている人や、特徴については次のとおりです。

  • 発症頻度は約6~10%と言われ、小学校の30人クラスであれば2、3人が協調運動障がいである
  • 5歳~11歳の子どもの発症率は5~6%
  • 男児の方が発症しやすい
  • 自閉症スペクトラム障がい、注意欠陥多動性障がい、学習障がいの子どもは協調運動障がいである場合が多い
  • 男女比は、2:1~7:1と推定されている
  • 大人になっても、約50~70%の頻度で症状は残る

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