子どもの成長を近くで見ていると、発達に関して様々な悩みや不安な気持ちにかられることがあります。中でも、言葉の発達は年齢に沿った成長が出来ているか、発達に遅れが見られないかを発見するための1つの大きな目安になっており、重要な項目として乳幼児健診などでは必ず問診や検査を行います。その先に、言葉が年齢よりもかなり遅い場合には、『言語発達遅延』の可能性が出てきます。では、言語発達遅延とはどのような障がいで発達障がいとは違うのでしょうか?また、言語発達遅延のトレーニング方法についても解説します。
赤ちゃんから子供へ…言葉の発達の過程とは
赤ちゃんだった我が子がハイハイをし、つかまり立ちをし歩くようになっていき喜びと楽しみが入り混じる反面、体の発達だけでなく内面の発達も気になりますよね。中でも、言葉が中々出てこないとなると、発達面では大丈夫なのかと、とても心配になることがあるでしょう。
子供の心身の発達や成長は必ずしも同じではなく、個人差が非常に大きくなりますので当然言葉の発達も遅い子もいれば早い子もいます。ですので、発達に関して他の子と比べるものではないとわかっていても、どうしても比べてしまい一喜一憂してしまいますよね。では、そもそも言葉の発達はどういった過程を辿るのでしょうか?
意思や思いを伝える『泣く』ことが始まり
言葉の発達は意思や思いを伝える『泣く』ことが始まりです。赤ちゃんは泣くことで、自分の思いやして欲しいことを伝えていきます。その後、生後2か月を過ぎるころから、泣き声以外に「あー」「うー」といった言葉を発します。これが『クーイング』です。泣き声以外の声を出し、音を作る器官が成長していきます。そして、「あばば」という意味はないものの何等かの形で言葉を伝えようとする『喃語』になります。
喃語を発する頃には、表情も豊かになり興味の対象も一気に増加していきますので、子どもの成長をさらに実感することが出来るようになります。喃語に加えて手振りや指差しで自分の思いやして欲しいことを伝えるようになっていったら、「まんま」「ママ」「わんわん」といった意味持つ言葉である一語文を獲得します。
一語文の期間にたくさんの語彙を得て、「ママ、どこ」「まんま、食べる」という名詞と動詞による二語文へ成長します。単なる言葉であった一語文から、二語文を辿りしっかりとした文章へ変化していきます。その後、「ママ、どこにいるの」「まんまを食べたい」と助詞や助動詞を加えた文章へなりますが、この頃には他の人とのコミュニケーションをしっかりととることが出来たり、周りがして欲しいことを伝えると意味を理解して動くことが出来るようになります。
言語発達遅延は発達の過程で正常範囲に戻ることは少ない
上記のように、赤ちゃんは身体の成長に伴って、自分の意思を持ち伝えたいと感じるようになります。そして、その自分の思いを伝える手段として「言葉」を習得していきます。最初は単なる発声であっても、意味を持つ言葉から文章へ成長していきますが、言葉の発達は個人差が大きくなり早くにきちんとした文章を話せることが出来る子どももいれば、年齢よりもずっと語彙が少なかったり、言葉の発達が遅い子どももいます。
言葉の発達が著しく遅い場合には『言語発達遅滞』の可能性
しかし、個人差を加味しても生活年齢よりも言葉の発達が著しく遅い場合には『言語発達遅滞』の可能性が出てきます。言語発達遅滞は、この年齢ではこの程度の言葉を獲得している、という基準から大きく下回った場合に疑いが生じます。言語発達遅を疑われる例としては、1歳半でもまだ全く言葉が出てこなかったり、2歳でこちらの指示を伝えても全く理解出来ていない場合などが挙げられます。
しかし、先程述べたように言葉の発達には個人差があり、こちらの指示の言葉は理解しているものの、言葉の表出が遅い場合には3歳前後に一気に発語が伸びていき平均内に入ることも珍しくありません。言葉の発達が単に遅くいずれ追いつくのではなく言語発達遅滞の場合だと、こちらの指示の言葉が理解出来なかったり、意味ある言葉が少なく年齢よりも遅い倍には年齢が大きくなるに伴って症状は顕著になっていきます。
言葉の遅れというと、どうしても発語しないということ(表出力)に重きを置いてしまいがちですが、指示言葉を理解出来ないこと(理解力)も言葉の遅れになります。単に発達がゆっくりの場合であれば、年齢を重ねた時にどのタイミングかで言葉を記憶したり発するようになりますが、言語発達遅滞の場合だと、表出力も理解力も少ない傾向があり、ある年齢に達しても言葉を一気に発することは少なくなります。ですので、小さい時からきちんとトレーニングを行って言葉の成長を促す必要があります。