子どもの「ゲーム依存」なりやすい子の特徴と“危険因子”は?専門医に聞く

凸凹村管理人

「ゲーム依存」に陥る小学生が増えています。ゲーム好きな子どもは多いですが、どんな子が依存になりやすいのか、依存の兆候がある子に親はどう対処すればいいのか、ゲーム依存に詳しい久里浜医療センター名誉院長で精神科医の樋口進さんに話を聞きました。

いつでもゲームができる環境は依存につながりやすい

生まれつき「ゲーム依存に陥りやすい子ども」は存在します。特に、発達障がいはその大きなリスク要因です。ADHD(注意欠如多動症)の子どもは衝動性が高く、自分をコントロールする力が弱いため、ゲームにのめり込みやすい傾向があります。

また、普段は不注意であっても、一度スイッチが入ると一つのことに集中し続ける「過集中」の傾向があり、これがゲーム依存を引き起こす要因となります。一方で、自閉スペクトラム症の子どもは非常に強いこだわりを持ち、ゲームに対してもそのこだわりが依存を引き起こす要因になることがあります。

さらに、発達障がいを持つ子どもは、対人関係をうまく築けないなど、社会での生きづらさを抱えていることが多いです。そのため、オンライン上のバーチャルな世界での居心地の良さが、ゲーム依存に拍車をかける要因となっています。

育ち方や生活環境が及ぼす影響

ゲーム依存に影響を与える要因として、育ち方や普段の生活環境も重要です。まず、インターネットやゲームを始める年齢が早いことは、明確な危険因子となります。

家庭内で親や兄弟がゲーム好きで、頻繁にゲームをしている場合や、身近にゲーム機やスマートフォンが常にあり、日常的にゲームができる環境で育った子どもは、ゲーム依存のリスクが非常に高くなります。また、幼少期に虐待を受けた子どもや、親から十分な愛情を受けられずに育った子どもも、ゲーム依存になりやすい傾向があるとされています。

ゲーム中心に生活が回っている子は要注意

当院である久里浜医療センターでは、WHO(世界保健機関)の診断基準に基づき、ゲーム依存の疑いがあるケースをスクリーニングするための「ゲームズテスト」を作成し、公開しています。このテストはチェックリストとしてご利用いただけます。

たとえば、ゲームをする時間が長い、約束したゲーム時間を守れない、夜中までゲームを続けるために朝起きられない、課金額が増えている、注意されると激昂する、ゲーム以外のことに興味を示さない、などの行動は、ゲーム依存が強く疑われる兆候です。

では、「ゲーム時間が長い」とは具体的にどの程度を指すのでしょうか。多くの学者が「ゲームの時間と依存は関係ない」と主張していますが、当院では患者さんの実態調査から「平日に2時間以上ゲームをする場合、ゲーム依存のリスクが増える」と判断し、ゲームズテストのチェック項目に反映させています。これはあくまで一つの目安ですが、参考になると思います。

若いほど依存に至るまでの進行が速い 

兆候が見られた場合、親としてどのように対処すべきかについて、まず親子で話し合うことが重要です。ゲームをする場所や時間に関するルールの必要性を説明し、その上でお子さんの意見を聞きながら、どのようにルールを守るかを一緒に考え、じっくりと話し合ってください。

それでも改善が見られず、家族内での解決が難しい場合は、相談機関に連絡を取りましょう。各都道府県や政令指定都市の精神保健福祉センターには依存に関する相談窓口があります。また、ゲーム依存を専門的に診療している医療機関でも相談に応じています。多額の課金に関する問題については、消費生活センターや国民生活センターに相談することも考えてください。

医療機関を受診するべき場合については、専門医療機関の受診は早すぎることはありません。これまでにさまざまな年齢の患者を診てきた結果、年齢が若いほど依存に進行するスピードが速く、早期の対処が必要であることが分かっています。専門医療機関では、ゲーム依存に至っていない場合でも適切なアドバイスを受けることができるので、気になる症状がある場合は受診を検討してください。

久里浜医療センターのホームページには、ゲーム依存の専門医療機関のリストが掲載されていますが、12歳以下の診療が可能な医療機関は限られています。各医療機関に詳細を確認するか、このリストに掲載されていない小児科や児童思春期精神科で診療を行っているかを、精神保健福祉センターに問い合わせてみるとよいでしょう。

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