境界性パーソナリティ障がいとは?特性、診断、治療法の詳細解説

凸凹村管理人

パーソナリティ障がい(人格障がいとも呼ばれます)とは、本人に重大な苦痛をもたらすか、日常生活に支障をきたしている思考、知覚、反応、対人関係のパターンが長期的かつ全般的にみられる人に対して用いられる用語です。

境界性パーソナリティ障がいとは?

境界性パーソナリティ障がいの患者は、一人でいることに耐えるのが困難であることが多く、一人でいることに対処したり、一人になることを回避したりするために自己破壊的行為に訴えることがあります。見捨てられることを避けるために、危機を作り出すなど、死に物狂いの努力を払うことがあります。例えば、自分の苦痛を伝え、相手から救いの手や世話を引き出すための方法として、自殺を試みることがあります。

境界性パーソナリティ障がいの有病率の推定値にはばらつきがあります。米国の一般人の2~6%近くにみられるようです。男性よりも女性の方が多く診断されます。大半の患者で、時間の経過とともに症状が緩和する傾向があります。

境界性パーソナリティ障がいは、人間関係、自己像、気分、行動の不安定性、そして拒絶されたり、見捨てられたりする可能性に対する過敏性を特徴とします。

  • 境界性パーソナリティ障がいの患者は拒絶されたり見捨てられたりすることを恐れますが、その理由の1つは孤独になりたくないからです。
  • 境界性パーソナリティ障がいの診断は、人間関係、自己像、気分の頻繁な変化、また自己破壊的で衝動的な行動などの具体的症状に基づいて下されます。
  • 自殺行動を減らし、抑うつを軽減し、患者が日常生活をうまく送る手助けをするのに精神療法が役立つ可能性がありますが、ときに症状を軽減するために薬が使用されます。

他の病気もしばしばみられます。具体的には以下のものがあります。

  • うつ病
  • 不安症(パニック症など)
  • 心的外傷後ストレス障がい
  • 摂食障がい
  • 物質使用障がい

境界性パーソナリティ障がいの原因

遺伝子と環境要因が境界性パーソナリティ障がいの発症に関わっている可能性があります。一部の人には、生活上のストレスに対しうまく反応できない遺伝的な傾向があり、他の精神障がいとともに境界性パーソナリティ障がいを発症する可能性が高まる場合があります。また、境界性パーソナリティ障がいは家族内で受け継がれる傾向があり、さらにこの傾向には遺伝する部分がある可能性を示唆しています。この病気をもつ人の第1度近親者は、一般の人よりこの病気を発症する可能性が5倍高くなります。

幼児期のストレスが境界性パーソナリティ障がいの発症に関わっている可能性があります。境界性パーソナリティ障がい患者の多くが子どもの頃に身体的または性的に虐待を受けたり、養育者と離別したり、片親を失ったりしています。養育者に対する愛着の不安定さが境界性パーソナリティ障がいの症状に関わっています。

境界性パーソナリティ障がいの症状

境界性パーソナリティ障がいの患者は、しばしば内心で感じているより安定しているようにみえます。

見捨てられることへの恐れ

境界性パーソナリティ障がいの患者は見捨てられることを恐れますが、その理由の1つは孤独になりたくないからです。患者はときに自分がまったく存在しないように感じることがあり、これは自分を気づかってくれる他者がいない場合によくみられます。しばしば自分の内面を空虚に感じます。

この障がいの患者は、見捨てられそうだと感じると一般に恐れを抱き、怒ります。例えば、自分にとって重要な人が約束に数分遅れたり、約束をキャンセルしたりするとパニック状態に陥ったり、激怒したりすることがあります。患者はこのような間違いが、自分とは関係のない事情ではなく、自分について相手がどのよう感じているかが原因であるとみなします。患者は約束がキャンセルされたのは、相手が自分を拒絶しており、自分が悪いからだと考えることがあります。その反応の強さは、患者の拒絶に対する敏感さを反映しています。

境界性パーソナリティ障がいの患者は他者に共感し、思いやりをもつことができますが、それは必要な場合には相手が必ずそばにいると感じる場合に限られます。患者は親密な対人関係や他者への思いやりを望みますが、彼らにとっては安定した人間関係を維持することは困難です。患者は自分が親密に感じている相手がどのように振る舞うべきかについて非常に高い期待を抱いていることが多く、人間関係に関する感じ方が急激に、大きく変動することがあります。

怒り

境界性パーソナリティ障がいの患者は自分の怒りをコントロールすることに困難があり、不適切で強い怒りを生じることがよくあります。患者は自分の怒りを痛烈な皮肉、嫌味、または怒りのこもった痛烈な批判で表現することがあります。無視されたり、見捨てられたりしたと感じることから、患者の怒りはしばしば親しい友人、恋人、家族、ときには医師に対して向けられます。

そのような怒りの爆発の後、患者はしばしば恥ずかしさや罪悪感を覚え、自分が悪い人間であるという感じ方を強めます。

変わりやすさ

境界性パーソナリティ障がいの患者は、他者に対する見方を急激かつ劇的に変える傾向があります。例えば、関係の早期には、患者は相手を理想化し、多くの時間を一緒に過ごし、あらゆるものを共有します。突然、患者は相手が十分に気づかってくれないと感じ、幻滅します。そして相手をけなしたり、相手に怒ったりすることがあります。

あるときには愛情を強く求めていたのに、次の瞬間には不当な扱いを受けたことについて当然のごとく怒ることがあります。患者の態度は、他者が付き合ってくれる可能性と他者からの支えに対する患者の捉え方に基づいて変動します。支えられていると感じているときは無防備で、愛情を強く求めるけれども、脅かされたり、失望を感じさせられたりすると、怒りを抱き、他者を低く評価することがあります。

境界性パーソナリティ障がいの患者は自己像も突然、劇的に変えることがあり、自分の目標、価値観、意見、職業、または友人を突然変えることで示されます。気分の変化は通常数時間しか続かず、数日以上続くことはまれです。気分が変化するのは、この病気の患者が、人間関係での拒絶や批判の徴候に非常に敏感なためである可能性があります。

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