素行障がい(素行症)とは?診断基準から対応方法まで解説

凸凹村管理人

素行障がい(素行症)とは、その年齢における社会規範に反する行為のいずれかが半年以上あり、かつ1年の間にそうした行為が複数みられる状態です。ADHD(注意欠如多動症)の二次障がいとして発症することもある素行障がい(素行症)について、症状から周囲の対応法まで詳しくまとめました。

素行障がい(素行症)とは?

素行障がい(素行症)とは、その年齢における社会規範に反する行為のいずれかが半年以上あり、かつ1年の間にそうした行為が複数みられる状態です。※素行障がいの読み方は「そこうしょうがい」、素行症は「そこうしょう」と読みます

社会規範に反する行為の例として、いじめ・喧嘩など人や動物に対して危害を加える行為、放火や他人の所有物の破壊行為、詐欺や不法侵入及び万引きなどの窃盗行為、13歳未満での夜間外出や家出・学校をさぼりる行為などが挙げられます。

診断にあたっては、こうした行為が、社会生活において障がいを起こしているかが確認されます。

なお、10歳になるまでに特徴があらわれている場合を児童期発症型、10歳以降に症状があらわれた場合を青年期発症型と分類します。18歳以上(大人)の場合は反社会性パーソナリティ障がい(反社会性パーソナリティ症)の基準を満たさない場合に限り診断されます。

小児期の後期や青年期の初期に始まる

素行症の小児は、わがままで他者への思いやりがなく、罪悪感にさいなまされることなく、いじめたり、他者の持ち物に損害を与えたり、嘘をついたり、盗んだりします。

診断は現在と過去の小児の行動に基づいて下されます。精神療法が助けになることもありますが、最も効果的な治療法は、問題の多い環境から小児を引き離し、代わりに精神衛生施設などの厳格に統制された環境におくことです。

小児の行動は多様です。ほかの小児より行儀よく振る舞う子どももいます。小児が年齢にふさわしくないやり方で、規則を破ったり他者の権利を侵害したりする行動をしつこく繰り返す場合にのみ、素行症と診断されます。

素行症は小児期の後期や青年期の初期に始まるのが通常で、女子より男子ではるかに多くみられます。遺伝的要因や環境が素行症の発症に影響を与えると考えられています。素行症の小児の多くには、薬物乱用、注意欠如・多動症、気分障がい、統合失調症、反社会性パーソナリティ障がいなどの精神障がいをもつ親がいます。しかし、素行症の小児が問題のない健全な家庭から生じることもあります。

年代別の素行障がい(素行症)の分類、ADHD(注意欠如多動症)との関連は?

素行障がい(素行症)には3種類あり、発症した年齢によって種類が分けられます。

◇児童期発症型

児童期発症型の素行障がい(素行症)は10歳までに発症するとされています。児童期発症型は、女児よりも男児のほうが多く、相手に対して暴力的になることや、対人関係に困難さが生じることがあります。

また児童期発症型の素行障がい(素行症)の場合、小児期早期に、反抗挑戦性障がい(反抗挑戦症)の診断がされている場合が多いと言われています。早期の発症は、行動上の問題が続きやすい傾向があります。

◇青年期発症型

青年期発症型の素行障がい(素行症)は、10歳になるまでに素行障がい(素行症)の症状が見られないことが診断の条件です。成人後は、不適切な行動が消失しやすいと言われています。

◇特定不能の発症年齢

素行障がい(素行症)の基準は満たしているが、発症年齢が10歳より前か後か分からない場合には、「特定不能の発症年齢」とされます。

ADHD(注意欠如多動症)との関連は?

ADHD(注意欠如多動症)の子どもの中には、多動や衝動性といった特性による言動が、その場の状況としては不適切な行動と捉えられることもあります。しかし、その行動自体が社会的なルールに反したり、他者の権利を侵害するようなものではないと考えられるため、通常は素行障がい(素行症)の診断を満たすことはないと言われています。

一方で、素行障がい(素行症)の子どもは、ADHD(注意欠如多動症)を併存することがあります。最初に素行障がい(素行症)と診断された子どもの多くが、経過中にADHD(注意欠如多動症)も有するという研究結果もあります(Cant-well and Baker 1989)。

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