発達障がいのナレーターが実践する即効ライフハック 仕事と生活の質を向上させる方法とは?

凸凹村管理人

発達障がい・グレーゾーンかもしれない人の仕事術』(中村 郁 著、かんき出版)の著者は、ナレーター/声優として活動する人物。発達障がいの当事者でもあり、前著『発達障がいで「ぐちゃぐちゃな私」が最高に輝く方法』(秀和システム)をご紹介したこともあるので、覚えておられる方もいらっしゃるかもしれません。

発達障がいと聞くと戸惑う方もいらっしゃるかもしれませんが、決して珍しいものではなく、発達障がいの診断がおりる日本人は急増しているそう。文部科学省の調査では、日本人小学生の約10人に1人が発達障がいであることがわかっており、大人になってから発達障がいであることがわかるケースも増えているのだとか。

発達障がいを持つ人は能力に凹凸がある

なお、発達障がいとしてはおもに3つが挙げられるといいます。まずは、コミュニケーションや対人関係に困難を抱え、強いこだわりがあることを特徴とする「自閉症スペクトラム症」(ASD)。次に、注意力散漫だったり、多動・衝動性があったりする「注意欠如・多動症」(ADHD)。そして、知的障がいを持たなくても、文字の読み書きや計算などの特定の能力に困難を抱える「学習障がい/限局性学習症」(LD/SLD)。

いずれにしても発達障がいを持つ人は能力に凹凸があり、できることとできないことの差が激しい傾向にあるようです。では、そんな人たちがビジネスの世界で生きていくためにはなにが必要なのでしょうか?

私たちに必要なのは、環境を調整することです。

発達障がいの特性は、使い方を間違えると大暴走し、周りの人に迷惑をかけてしまうことがありますが、うまく使いこなすことができれば、他の人にはできないようなことを達成することもできます。

私たちの特性をうまく使いこなすために必要なこと。それは、まず自分を知り、理解し、認めることです。(「まえがき」より)

つまり本書において著者は、発達障がいを抱えながらもよりよく働くための考え方や姿勢、方策を紹介しているわけです。きょうはそのなかから第2章「環境を整えるライフハック」に注目してみたいと思います。

書類整理は年に4回と決める

書類は気づかぬうちに増えていくもの。そこで著者は、重要な書類は「専用の引き出し」にすぐ入れ、提出しなければならない書類はよく見える場所に貼り出しているそうです。そうなると「さほど重要ではない書類」をどう整理するかが気になるところですが、こちらに関しては、紙袋を活用すればなんとかできるのだといいます。

私は、仕事関係の書類、子供の学校関係の書類、習い事関係の書類、郵便物など、カテゴリー別に分けて、別々の袋に入れています。そして、どこに分類したらいいのかわからないものは、「分類できないもの」として別の袋に入れます。(62ページより)

とりあえず3カ月はそのまま入れ続ける

書類がたまってしまう原因としてよく見られるのが、「いまは必要ないけれど、のちのち必要になるかもしれない」「目を通しはしたけれど、捨ててしまうのはなんとなく不安だ」「思い出がある」などの“妙な感情”。そこで、そういった感情を紙袋に預けてしまうわけです。ポイントは、とりあえず3カ月はそのまま入れ続けること。

そして最後の書類を入れてから3カ月が経ち季節が変わる頃、紙袋の中身を改めて確認してほしいのです。

ほとんどの書類は、もうずいぶん前のものになっているはずです。3カ月間、一度も必要にならなかったら、何の躊躇もなく、ごっそり捨てることができるでしょう。(63ページより)

日常的に、細かい書類整理や分類をすることは、著者のようにADHDを持つ人にとってはかなりのストレスであるようです。その時間を手放して、好きなことややるべきことに時間を使うためにも、3カ月に一度、ごっそり捨てられるタイミングで書類整理をするべきだということです。(62ページより)

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