「発達性トラウマ」とは?トラウマの理解が人と組織を大きく変える

凸凹村管理人

近年、「トラウマ」の理解が急速に進んでいます。この「トラウマ」は実は誰もが抱えているものであり、その理解を深めることで、職場環境を劇的に改善する可能性があるとされています。トラウマを理解することで、真に生産的で、イノベーションの源泉となる職場を築くことができるのです。

ITmediaエグゼクティブ勉強会のライブ配信において、公認心理師のみき いちたろう氏が登場しました。彼は2023年2月に発表された著書『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』を基に、「あなたの職場が働きづらいのは、実は“トラウマ”のせいかも? ~『発達性トラウマ』を知れば、人と組織は大きく変わる~」というテーマで講演を行いました。

トラウマの理解がいかに個人と組織を変革させるか

みき氏は、大学在学中からカウンセリングに携わり、20年以上の臨床経験を持っています。彼が設立したブリーフセラピーカウンセリング・センター(B.C.C.)では、トラウマ、愛着障がい、吃音などのケアを専門に提供しています。さらに、著述活動やテレビドラマの制作協力も行っており、「遺留捜査」や「科捜研の女」などの医療監修も担当しています。

彼の講演では、トラウマの理解がいかに個人と組織を変革させるかについて深く掘り下げられました。発達性トラウマの理解が進むことで、人々はより良い職場環境を構築し、結果として高い生産性と創造性を引き出すことができるというメッセージが強調されました。このような理解は、個々の従業員のウェルビーイングだけでなく、組織全体の成功にも直結する重要な要素です。

身近になった「トラウマ」への理解

よく耳にする「トラウマ」という言葉ですが、どのようなイメージを持っていますか?多くの人は、特別な出来事に遭遇した人が経験する特別な事象と考えるかもしれません。しかし、トラウマは特別なものではなく、日常の慢性的なストレスによっても生じるものであり、近年では誰もがトラウマを抱えているといわれるようになっています。例えば、仕事でのパフォーマンス低下、対人関係の問題、うつ症状なども、実はトラウマが原因と考えられています。

現在、トラウマを負うと発達障がいに似た症状が生じることも分かってきています。これは「第四の発達障がい」とも呼ばれ、発達障がいと疑われる多くのケースの原因が、実はトラウマや愛着障がいなどの後天的な環境要因にあるのではないかと考えられています。

近年急速に研究が進んできた「トラウマ」は、メンタルヘルスのみならず、人間の本質(生きやすさ、働きやすさ)にも深く関わる重要な概念です。トラウマを理解することが、マネジメントや職場の生産性、創造性の改善にも役立つとされています。

トラウマによって生じる身近な症状

トラウマが原因で生じる身近な症状には、緊張しすぎる「過緊張」や、気を使いすぎる「過剰適応」などがあります。これまではトラウマとはとらえられてこなかったこれらの症状も、実際には慢性的なストレスによるものです。一見「どこにでもある」と思えるような家庭の不和や親の過干渉など、身近な出来事からトラウマが生じるのです。

子どもの前での夫婦げんか深刻なダメージに

最近では、子どもの前での夫婦げんかが子どもに深刻なダメージを与えることが分かってきています。他にも、テレビを見ながらタレントの悪口を言い続けたり、親族やご近所の方の悪口を子どもに聞かせ続けたりすることも、大きなトラウマの原因となります。

これまであまり研究や理解が進まなかった「トラウマ」ですが、近年になり、ようやくその状況が変わりつつあります。トラウマの理解が進むことで、個人の生活や職場環境がより良くなり、生産性や創造性を引き出すことができるようになるでしょう。

関連記事

  • 自閉症も多動性も「個性」であり「力」職場を進化させる「ニューロダイバーシティ」とは

  • 「適応障がい」になりやすい人の特徴とは?経験者が語る“壊れる寸前まで働いた結果”ついとってしまった行動とは