「発達障がいの子」がイキイキとする接し方とは?知っておきたいポイント!

凸凹村管理人

家庭や学校とは異なり、多様な人々が集まる「社会」という場には、目には見えない多数のルールが存在しています。

倫理や規律などが混在するこの公共空間や地域社会において、発達障害の子どもたちはどのように日々を過ごしているのでしょうか?彼らの目線から見た「社会」の様子を知ることで、支援する立場にいる人々が心がけるべきポイントが明らかになるはずです。

今回ご紹介するのは、臨床経験が豊富でこの分野の第一人者である精神科医・岩波明氏の最新刊『発達障害の子どもたちは世界をどう見ているのか』から、ASD(自閉症スペクトラム障がい)、LD(学習障がい)、ADHD(注意欠如多動性障がい)の当事者の知覚世界についてです。

本書では、彼らが社会という舞台でどのような視点を持ち、どのように感じているのかを解説しています。社会における具体的なシーンを通じて、発達障害を持つ子どもたちの理解を深める一助となるでしょう。

ASDにも衝動性がある

衝動性があり、動き回ることはADHDに顕著に見られますが、知的レベルにも左右されるものの、ASD(自閉症スペクトラム障がい)の人にも見られる特徴です。例えば、私の診察室に来るASDの方の中にも、じっと座っていられない人がいます。

ある思春期の女性の自閉症患者は、外来の診察室において毎回まったく席に座らず、診察室の中をぐるぐる歩き回ったり、勝手にベッドに横になったりしていました。

また、電車の中で独り言を言いながら先頭車両まで移動し、先頭に到着すると最後尾まで移動するという動きを繰り返している人を見かけたことがあるかもしれません。おそらく、そのような人たちはASD(自閉症)である可能性が高いです。

規則的な動きや決まった行動パターンを好む

これは有名な自然科学者ダーウィンにも共通しています。彼は広い邸宅の庭をずっと歩き回っていましたが、歩き方や歩くコースは何年もまったく同じだったそうです。

ASDの人たちは規則的な動きや決まった行動パターンを好むのです。このような行動パターンは、彼らの知覚世界の一部であり、理解し支援するための重要な手がかりとなります。

ASD(自閉症スペクトラム障がい)では、衝動的な暴力が頻繁に見られるわけではありませんが、極限状況やパニック時には器物損壊や対人的な暴力が発生する可能性があるため、注意が必要です。

ASDの方々は自分の好きなものや興味のあるものに対してのめり込む傾向があります。例えば、漢字や石の収集、あるいは女性アイドルの記事収集など、興味や関心の対象は多岐にわたります。鉄道や乗り物、ゲームに対するマニアも多く存在します。

ADHDも好きなものや興味のあるものに対してのめり込む

同様に、ADHD(注意欠如多動性障がい)の人々も好きなものや興味のあるものに対してのめり込む傾向があります。

しかし、印象的なのは、ADHDの人が熱く激しくのめり込むのに対して、ASDの人は深く静かにのめり込むという違いがあることです。また、ADHDの場合はのめり込みやすいが同時に飽きやすいという特徴もあります。

ASDの人とコミュニケーションをとる際に、効果的なのは伝え方の工夫です。その際に重要なポイントを以下に詳しく説明します。

  • 迷わない伝え方

ASDの人は具体的で明確な指示を好みます。曖昧な言い回しや複数の指示を同時に与えると、混乱しやすくなります。ですから、「○○をしましょう」というように、シンプルかつ明快な言葉で伝えることが大切です。また、数字や具体的な事例を挙げることで理解を助けることができます。実際に行動を見せたり、動画で説明するのも効果的です。

  • 興味・関心の持てる伝え方

ASDの人は自分の興味や関心があるものには、熱心になります。ですから、相手の興味が何かを知り、そのテーマに関連した話題や資料を使ってコミュニケーションをとると効果的です。たとえば、電車が好きな人には、電車のイラストや模型を使って話をすると興味を引きます。

  • 肯定的な伝え方

ASDの人は、過去に否定的な経験を重ねることが多く、自己肯定感が低い場合があります。ですから、コミュニケーションでは肯定的なアプローチを心がけましょう。まずは相手の良いところを褒め、肯定的なフィードバックを与えます。その上で、改善点について話し合うことで、前向きな関係を築きます。

これらの伝え方の工夫を取り入れることで、ASDの人とのコミュニケーションが円滑になり、信頼関係を築くことができます。

LDの子はさまざまな場面でも同じ「世界」を生きている

LD(学習障がい)のお子さんは、家や学校だけでなく、日常生活のさまざまな場面でも同じ「世界」を生きています。

たとえば、「似たような文字がすべて同じに見えてしまう」という特性を持つ子は、道路や駅で看板を見ても、書かれている文字の意味が理解しづらいかもしれません。

また、「先生の話をうまく書き留められない」という子は、近所の人との会話でも言っていることが理解しづらいかもしれません。さらに、「計算が苦手」という子は、買い物の際にお金の計算が難しく、戸惑うこともあります。

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