ニューロダイバーシティ:多様性を尊重し、社会を活性化する 「発達障がいの雇用促進、職場の戦力に!」の背景と意味

凸凹村管理人

ニューロダイバーシティとは、脳や神経の多様性を尊重し、社会の中でその違いを生かそうという考え方です。脳の特性の違いを理解し、発達障がい(神経発達症)を単なる病気ではなく個々の特性として捉え、その多様性を尊重する動きが広がっています。

発達障がい当事者に適切なサポートを提供することで、高い生産性を発揮できることが実証されており、企業の中には発達障がいを持つ人材を積極的に採用し、成果を上げている例もあります。

才能を持つ人材を発掘

ニューロダイバーシティの概念は、欧米の先進企業で10年以上前から取り入れられ始めました。例えば、マイクロソフトはニューロダイバーシティに特化した雇用プログラムを展開し、発達障がいを持つ170人を雇用しています。その結果、主力製品を扱うエンジニアも生まれており、SAPやヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)などの企業も同様の取り組みを行っています。これにより、従来の採用方法では発見できなかった才能を持つ人材を発掘することができています。

生産年齢人口の急激な減少

日本でも、経済産業省が2021年からニューロダイバーシティの調査を開始し、現在ではダイバーシティの一環として「ニューロダイバーシティの推進」を掲げています。その背景には、生産年齢人口の急激な減少があります。日本の総人口は2004年をピークに減少に転じ、2100年には4771万人にまで減少すると予測されています。このような急激な人口減少と高齢化が進む中で、多様な人材を活用することが不可欠となっています。

それぞれの強みを最大限に引き出す

ニューロダイバーシティの推進は、単に発達障がいを持つ人々の権利を擁護するだけでなく、社会全体の生産性向上にも寄与します。脳の特性の違いを尊重し、それぞれの強みを最大限に引き出すことで、より豊かで多様な社会を実現することができるのです。

図1 日本の総人口の推移予測(出典:国土交通省「国土の長期展望」中間とりまとめ)

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