字を上達させるため「何度も書く」は良くない?発達障がいの息子 ノートやペンなどの道具を工夫

凸凹村管理人

息子が発達障がいと高IQを持つ「2E」の特性に対処するため、学校の授業に適応できない状況に直面しました。そこで、「学校での勉強よりも、人との交流や遊びに時間を割くことが大切だ」と息子に提案しました。

同時に、「自宅では自分のペースで学び、興味のある分野に深く入ることができる」と伝え、彼もそれを受け入れてくれました。

書いた本人も「わからない」

自宅学習では、彼の興味を引き出すために、公立小学校の少し上の学年の教科書を活用しました。特に算数に興味を持っていた息子は、予想以上に学習が進んでいき、その成長を見守ることができました。この段階では、私の頭の中には「中学受験」の考えはまったくありませんでした。

自宅での先取り学習を始めた際、息子の字の汚さが気になりました。発達障がいによる書字の困難さは一般的なものであり、息子もその傾向が強く表れていました。時には、彼の文字を見ても何を書いているのかわからないこともありました。そして、後で見直して「わからない」と言うこともよくありました。

「何度も何度も書く」指導をするが

私は当初、「字は練習すれば誰でもうまくなる」という考えでした。自分自身が子供の頃に書道を習っており、美しい字が大人になってからの利益になると感じていました。そのため、息子には典型的な「何度も何度も書く」指導をしました。しかし、これは大きな失敗でした。息子はますます嫌がり、机に向かうことすら嫌悪する日もありました。

発達障がいがある子供は、いくら練習しても上手になれないことがあります。私はその当時、自分の勉強不足が息子を苦しめていることに気づき、「息子の将来のために良かれと思って」行っていたことが実は逆効果だったことに気づきました。これは今でも後悔しています。以降、子供が苦しむのは、親の知識不足が原因だと考え、より学び、理解する努力を重ねることを心がけています。

複数の障がいの可能性を考える

息子の字が汚い理由について、以下の三つの要素が掛け合わさっている可能性があると仮説を立てました。

  • ディスグラフィア(書字障がい)

 字がマス目から大きくはみ出したり鏡文字になったりする学習障がい。理由は不明ですが、この特徴が息子の書字に影響を与えている可能性があります。

  • 注意力の困難

 ADHD(注意欠陥・多動性障がい)の特徴で、複数の動作が必要な際に注意力をコントロールできず、書字への注意が減り、乱雑な字になる可能性があります。

  • DCD(発達性協調運動障がい)

 複数の動作を連動させるのが苦手で、細かい作業に苦手さを示す障がい。特に字を書くことや細かい筆記作業に影響を与える可能性が高いです。

特にDCDは息子の他の活動にも影響を与えており、縄跳びや自転車の操縦、キャッチボールなど複数の動作の連動が必要なことが苦手なようです。

「何度も書かせる」ことが息子にとって適切なアプローチではないことは理解しています。そこで、発達障がい支援の基本である「変えるべきは本人ではなく環境」という考えに基づき、私は道具の工夫をしました。

カラーマスノートを使用した結果、2Eによくみられる反応

カラーマスノートを使用した結果、息子の字は奇麗になりましたが、その速度が著しく遅くなったことが課題となりました。最初はカラーマスノートを使うことで、文字の一画一画の位置を分かりやすくし、息子の書字のサポートになりました。しかし、時間が経つにつれて、息子の鉛筆が重くなり、漢字の練習などに抵抗感を示すようになりました。これは2Eに多い「シンプルで単純な反復作業への抵抗感」の一例です。

そこで私は、カラーマスノートを有効活用するため、歴史の学習と書字の練習を組み合わせました。私が歴代総理大臣や徳川家の全将軍名、日本の年号をカラーマスノートに書き、息子にそれを手本に書かせることにしました。しかし、このアプローチも新たな問題を引き起こしました。

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